とある老人宅に、宗教絡みのセールスマンが上がり込んでいる。



セールスマン「お爺ちゃん、この壺は霊験あらたかな代物で、飾って置けば、忽ち、運気が上昇しますよ」

お爺さん「わしは、そういうのは信じないからね、、、、必要無いよ」

セールスマン「いけませんね、、、、祟られますよ。物理的な事象だけを認めていたら、逆に、日常を過ごし辛くなっちゃいますよ。隣の住んでいたお爺ちゃん、、、、田中さん、先日、亡くなられましたけど、何故、亡くなられたんでしょうか?」

お爺さん「心不全だと聞いてるが・・・?」

セールスマン「田中さんの状況のみを捉えれば、その説明で充分かも知れません、、、、が、人間、いや、全ての生き物は、単独で、他に交わらず、生きている訳では有りません。否応も無く、自分以外の何かに影響されながら、又、こちらからも与えながら、活かし、活かされているのです。そこで、考えましょう。田中さんは亡くなられたのに、あなたは、何故、今、猶、健康でいられるのか、、、、果して、合理的な答えが在るでしょうかね?」

お爺さん「それが、所謂、“運”というものだ、、、、そう言いたいのかい?」

セールスマン「僕は、それに関して、何も言いませんよ。ただ、この壺、通常なら、二百万は下りませんが、今日は、特別に、お安く、お譲りする覚悟です

お爺さん「何だ、お宅んところの威霊様は、神器の類をディスカウントしてくれるのかね?」

セールスマン「いいえ、神の関与する事柄では有りません。飽く迄も、僕の持出しです」

お爺さん「・・・親切なんだな。じゃあ、まあ、一応、値段だけでも聞いとこうか」

セールスマン「特別価格、、、、20円で、ご提供させて頂きます」

お爺さん「安っ! ・・・安っ!」

セールスマン「引き取って頂けるのなら、此方が20円を支払っても良いです」

お爺さん「余計に怪しいわ!」

セールスマン「オマケとして、ドイツ製の数珠をプレゼントします」

お爺さん「如何わしさが増してるよ! 何なんだ? あ、これ、ひょっとして、呪いとかが掛かっているような、曰く付きの代物なんじゃないのか?」

セールスマン「“呪い”なんて、、、、そんな、非科学的な事を信じちゃ行けませんよ」

お爺さん「さっきまでと、言ってる事が、随分違うな? いや、これは、とてもじゃないけど、受け容れられないし、、、、帰ってくれ」

セールスマン「そんな事、言わず、、、、お願いします。形だけでも、購入の手続きを・・・! ノルマを果さないと、戻ってから、カエルに変身させられてしまうんです!」

お爺さん「もう好いよ」