バーのカウンターにて


「ねえ、マスター、お酒、付き合ってよ」
「いえ、私は・・・」
「いいじゃん、一杯だけでも・・・」
「すみません。実は、肝臓の方が遣られちゃいまして・・・」
「医者から止められてるんだ?」
「それも有りますが、、、、患った事で、お酒全般、その匂いを嗅ぐだけで、もう、身体が受け付けなくなってしまいましてね」
「でも、仕事なのに・・・。マスターも大変なんだな」
「如何したんですか、今日は、、、、何か、有りましたか?」
「振られちゃったんだよ、十年も付き合っていた彼女に・・・」
「そうですか・・・、辛いですね・・・」
「誘惑に弱い人なんか嫌い、、、、って事らしいです」
「じゃあ、<ブナハーベン>を一杯だけ、頂きましょう」
「いいのかい?」
「ええ、今日は特別に、、、、私も振られた口ですからね」
「え、彼女に?」
「いいえ、、、、長年、愛し続けてきた<アードベッグ>に・・・。ピート香に弱い人なんか嫌い、、、、って事らしいです」