ある日、男は、魔法の杖を手に入れました(この経緯については、防犯上の配慮から、記述を差し控えさせて頂きます)。

それには、人間を動物の姿に変えてしまう機能が備わっていました。

男は、先ず、日頃、口煩い継母を実験役に選び、杖の力を試してみる事にしました。

「蛙になれ!」

男は継母に向かって、杖を一振りすると、何と、本当に、蛙に変身してしまったのです。

「これは凄いぞ!」

男は小躍りさえして、大喜びです。下の方では、蛙にされた儘母が、ゲコゲコゲコゲコ。鳴いています。

「蛙になっても、全然、煩いな。・・・こうしてやる!」

男は、蛙を踏み潰してしまいます。

「人の姿だった時は、こんな事、出来なかったけど、蛙の姿なら、簡単だな。一切、躊躇いが無いや」

男は意気揚々と、外に出掛けて行きました。今まで、恨みを抱いている相手を全て、動物の姿に変身させ、殺してしまおう、、、、そう目論んだのです。

男は、何人もの対象者を、次々に、(機敏性の無い)亀や蝸牛などに変身させ、尚且つ、殺害していきました。

一日の内、何十人もの命を奪いながら、悪びれる様子も無く、男は家に帰って来て、そのまま、心地良い眠りにつきました。

次の朝、男が目覚めて、リビングへと赴き、テレビを点けてから、寝ぼけ眼に、台所へ赴くと、そこに、人間の姿をしたまま、ぺしゃんこになって、息絶えている継母の死体を見つけます。

「・・・何だ、これ・・・? だって、蛙に変身させた筈・・・?」

リビングの方から、男の耳に、テレビニュースの音声が聴き届く。

『今朝方、都内の○○公園内にて、途轍も無い重さの何かにプレスされたかのような、ぺしゃんこになった遺体が、又、新たに発見されました。これで、五人目の被害者です。警察では、身元の確認を急いでおりますが、それとは別に、同一人物の犯行による連続殺人の可能性も視野に入れて、捜査を行ってようです。しかしながら、余りに奇怪な事件に、関係者も戸惑いを隠し切れず、、、、、、、、、』

そうです、、、、杖を使った男の方にも、魔法は掛けられていたのです。