男は、スーツをクリーニングに出す序で、前に依頼していた、別のスーツを受け取り、その、返された方の仕上がりを、即座、直ぐにチェックし始める。生来、神経質な性格の持ち主だった。

男  「おい、ここのシミ、、、、取れてないじゃないか?」
店主「あ、本当ですね・・・。でも、染み抜きについては申し付けられませんでしたので、、、、気が付きませんでした」
男  「それじゃあ、済まないだろ。こっちが申告してなくとも、預かった物の状態は確認しておく、、、、その上で、問題が有れば、客の側が求めずとも、黙って処置しておく、、、、それが、有能なプロってもんだ」

店の主人は平謝りで、改めて預かり、仕上げ直す旨、申し出た。とりあえず、男も納得し、新規依頼のスーツと共に預けて、その日は帰った。


後日、男が仕事から帰宅すると、その妻が鬼のような形相で、彼を待ち構えていた。目の前のテーブルには、見覚えの有る女物のコンパクトが・・・。男は状況を悟って、懸命に申し開きをするも、妻の怒りは収まらず、結局、妻は(妻の)実家へと帰ってしまう、という顛末となる。

男は、暫し、茫然自失となっていたが、やがて、思い立ち、出掛けて行く。向かった先は、あのクリーニング屋だ。男は、例のコンパクトを店主に突き付ける。

男  「どういうつもりだ! こんな物、態々、妻に届けやがって・・・! このアイテム一つで、充分、不倫を疑わせてしまう事ぐらい、分かってる筈だな?」
店主「こういう汚れに関しては、私どもの方では、落とし切れない物ですから、、、、その手立てをお持ちの奥様の方に・・・」
男  「ふざけんな! 何故、俺の方に知らせなかった?」
店主「客の側が求めずとも、黙って処置しておくのが、有能なプロなのでは・・・?
男  「要するに、腹いせの、下らない嫌がらせか・・・? でも、お前は、やっぱり有能じゃないな。スーツに付いたシミが、一体、どういう類のものかを見切って、又、何故、個人的に、毎度、スーツをクリーニングに出すのかを察して、尚且つ、このコンパクトの存在、、、、全てを総合して、的確に推理していれば、俺が妻に匿したがっていたのは、不倫なんかじゃなく、女装趣味だった、って事が容易に判った筈だ!」
店主「・・・御客様、、、、二点、お預かりしていた品が仕上がっておりますが、本日、お持ち帰られますか?」



これは、実話、、、、では在りません。