仕事に通いだし、10日ほど経っただろうか。
状況はというと、毎日発作の嵐です。
いつも大事な場面の前に、一通りの発作を思い切り意図的に起こしておくことで、大事な場面を乗り切るというやり方で、今までいろんな仕事を乗り越えてきたが、今回はそれがだんだん通用しなくなってきた。
この方法は、パニック発作の出現のしかたが嘔吐型な私だからこそ、このやり方で上手くやってこれたのかもしれない。
他に出現の仕方が過呼吸型や、尿意・便意型など、発作に至る形はたくさんあるようだ。
私の場合、分かりやすく言うと、下ネタのような話になってしまい恐縮ですけど、例を出してみますね。
たとえば、一度性的オーガズムを迎えた人は、次に同じようなオーガズムに達するには一定のインターバル時間がかかることでしょう。
連続でオーガズムは迎えられない。少なくとも男性はそうで、女性は違う人もいるらしいけど。
いわゆる「不能期」と呼ばれるもので、この時間帯を賢者タイムと呼ぶ人もいますね。
私のパニック発作はこれと似た働きをします。
つまり、一度強烈に胃の中が空っぽになるまで発作による嘔吐を終えてしまうと、次の発作、または予期不安まで短くて半日、長くて1日中次の発作から解放されることになります。
このインターバル期間を利用して、会議や面接や仕事など大切な時間を無症状でなんなく乗り切るという荒業です。
この不能期のおかげで私は、大事な場面の前に意図的に発作を前もって起こすことで、発作をコントロールして無症状のインターバル期間を作り出し働いてくることができました。
ただし、この不能期であっても、パニック誘発物質のニコチンやカフェインなどの物質を新たに接種することによって、不能期の終わりが早まってしまうことが分かってきました。これは私の体を使った人体実験で実証済みです。
ニコチンとカフェインを同時に接種したら、さらに劇的に不能期が縮まることも分かっています。
私はこの不能期によって、ここ10年ほど助けられてきたのですが、どうも今回はそう上手くいっていない。
朝に意図的に発作を起こしたのに、しかるべきとき、つまり通勤で電車に乗ろうとした瞬間、予期不安から発作に襲われることが頻発してきている。これでは話が違うではないか!
おかげさまで、朝すっかり吐いてきたにも関わらず、最寄りの駅のトイレでまた吐いて発作を起こしている。
私はこの10日間本当に地獄の苦しみを味わいながら通勤している。
ところがあるとき、駅のトイレの個室がものすごく並んでいて、吐きにいくことができない日々が続いた。
並んで待っていると吐きそうになって、待ってられないし、遅刻だってしてしまう。
最終手段として、私は駅の構内で発作を起こした。
胃からは朝に無理やり飲み込んだエナジーINゼリーが喉元まで這い上がってきたが、それを押しとどめた。
しかも何度も波のように。
このとき発作のときに出る涙は止められない。
みなさん吐いてみたら分かると思いますが、吐くときって苦痛のせいなのか必ず涙も出ますよね。
しかし、何度かの波を乗り越えると、発作も予期不安も去り、無症状の時間が来て、電車になんなく乗ることができた。
これが数日続いている。
慣れてきたのか、発作を起こしながら歩いて改札を抜けることもできた。
移動しながら発作を起こすことができたのだ。
しかも嘔吐することなく、嘔吐に伴う音も出すこともなく。
これはわたしにとってとてもアドバンテージだった。
昔は発作を起こすたびに、しゃがみ込むなり、這いつくばるなりして発作を起こして吐いていた。
私はその姿を人に見られるのが嫌で、嘔吐しているところ、その音を聞かれるのが恐怖でたまらなかったのだ。
しかし、現在、訓練のおかげか、嘔吐すること、嘔吐音を立てることもなく、歩きながら発作を起こすことができるようになってきた。
だからといって、発作はやはり苦しいが、でも後に発作や予期不安から解放されることを考えれば安いものだ
それにたびたび発作を起こすことによって、その苦痛のひどさも低下してきている。
人は何にでも慣れる動物ということなのだろうか?
ただし、まだ列車内やクルマの中では、怖くて発作を誘発しないようにしている。
さすがに密室では嘔吐するにしても、押しとどめたとしても、嘔吐を見られたり嘔吐音が人に聞こえてしまうのが嫌だからだ。
公共の閉鎖空間の場でそれをオープンにする勇気はまだ無い。
するとしても、もう少し実験と訓練が必要だろう
また、この方法は弱点もある。
お腹いっぱいに食べた後の発作では、嘔吐しなくてもやり過ごせる保証などどこにもないし、もし大嘔吐を起こしてしまったら、周りの皆さんに大変迷惑で、こればかりは嘔吐を我慢できないかもしれない。
幸い私は、仕事の前や仕事中はほとんどお腹が減らないので、このような状態を懸念することは滅多にないだろう。
しかし、いずれ余裕があったら試してみて、訓練によって克服して、さらなるパニック発作の恐怖を薄れさせるための一因にできればと思う。
もう一つの弱点だが、おそらくこの方法は、パニック発作を繰り返してしまうという性質上、体に良くないと思う。
パニック発作をくり返してしまうことによって、おそらく今の私の自律神経のバランスは無茶苦茶になっていると思う。
またパニック発作を頻回に起こしてしまうと、経験的に体や脳にクセづいてしまって、発作グセのようなものがでてきてしまうのではないかと思う。これはあくまでも私の経験上の考えだが・・・
今回、不能期を利用する発作対策が上手くいかなかった原因の一端には、私が今回、発作を頻回させたことによって脳や体に発作がクセづいてしまったことが原因の一つに上げられるのではないかと考えています。
パニック発作を頻回に起こして、パニック発作は怖くないものだと慣れてしまうところまでいくのならば、この方法は有効なのかもしれないが。あまり覚悟がなく、できれば発作なんか起こしたくないという人にとっては、このパニック発作の誘発はやめておいたほうがいいのかもしれない。
これはあくまでもパニック障害患者の私個人としての意見にすぎず、多くの人は参考程度に見るまでにしておいて、主治医の判断による治療を受けることをお勧めしますので、この方法で起きた不利益に関しては、当方は一切責任を負いかねますのであしからず。
また、汚い話になってしまったことをお許しください。
これでも当人は死ぬ思いで真剣にパニック発作と向かい合っておりますので(;'∀')
余談ですが、20年以上前にナインティナインの矢部さんが、初めて27時間テレビにおいてダウンタウンと共演することがあったらしく、極度の緊張のあまり、番組が始まる前にずっとトイレでゲロゲロ嘔吐していらっしゃったという話をオールナイトニッポンの放送でご本人が話しておられました。
パニック発作のある無しに関係なく、多かれ少なかれどんな人物でも生きていく限り、不安と緊張と闘わなければならない場面に出会わなければならない時はあるのでしょうし、病気だけのハンディキャップに限らず、人生いろいろあるものだなと思いました。
WBCで活躍した大谷選手であったり、オリンピックで失敗が許されない場面に立つような選手もいるでしょう。
あのイチロー選手もWBCで決勝以外の試合で思わしい成績を残せなかったことが、自身の胃潰瘍を招き、次のメジャーのシーズンをしばらく休んでしまったといいます。あのヒーローのイチローでさえストレスに悩まされるんですね。
でも大谷選手はけっこう余裕だし、あの人は人類を超えてしまっているのかもしれない。
とはいえ、あの大谷選手といえど、私たちの知らないところで不安に頭を抱えてしまっている場面もあるのかもしれませんがね。
そんなことを考えると、大舞台に立つような人はいったいどのような思考と心臓をしているのだろうと思ったりします。
人は挑戦を続ける限り、安楽な生活から離れなければならない場面も多々ある。
人の人生とは、簡単なものではないし、私の知らない苦しみを背負っている方も星の数ほどいる。
そう考えると、そんな方々と比べると、低レベルな次元で奮闘している自分とはいえ、一生懸命生きていかなければならないのだと、勇気づけられる思いであります。
パニック発作に慣れることで、仕事を無事に続けることができるようになれるか
心身共に私が参ってしまって、仕事を辞めざるを得なくなるのが先か
どうなるのか、このさきの未来、本当に心配です。
失敗しようが、上手くいこうが、なるようになる精神でいくしかないのでしょうかね。