超個人的な日記なんですが、僕はパニック障害という、わけのわからん持病をもっています。
この病気のために、いろいろと人生を回り道してきたように思います。
「パニック障害」ってあまり聞かない病名かもしれませんが、パニック障害をもつ人は意外に多くいます。
芸能人では長嶋一茂、堂本剛、安西ひろこ、田中美里、中川家の兄ちゃん、円ひろし、アンルイス、高木美穂など他にもけっこういます。
この病気はハッキリいって日常的にシンドイし、悪魔のような苦しさがあります。
この病気を克服することが、僕の人生の最大のテーマと言ってもいいかもしれない。この病気と出会うために僕は生まれてきたのかもしれない。
今となってはそう思います。
それではパニック障害とはなんなのか
パニック障害には前段階に、まず「予期不安」というものが多くの場合起こります
そしてそれは、本来の自分ならたいして不安を感じない状況なのにも関わらず、予期不安は起こったりします。
具体的に予期不安の症状とは
息苦しくなり過呼吸気味、汗はダラダラ、心臓はバクバク、手足は震えしびれて力が入らないような感覚、頭はフラフラ。そして、ものすごい恐怖感。
この予期不安は、パニック発作が起きる前兆なんですが、かなり苦しく恐怖感を伴うものです。
ほとんどのパニック障害患者が、これに悩まされ行動力が制限されてしまいます。
また、僕と同じようにパニック障害をもっている方は、たいてい「広場恐怖」というものを持っています。
広場恐怖とは電車などの乗り物内やエレベーター内など、閉塞され逃げられないような空間にさらされると、異常な恐怖感を感じてしまうような状態のことです。 あるいは多くの人ゴミに晒されたりする状況などでも発生します。
たいていの場合は、この広場恐怖から予期不安→パニック発作へと移っていくものです。僕は広場恐怖を感じることはあまりありませんでしたが、最近になって、この広場恐怖に悩まされるようになりました。
僕が広場恐怖を感じてしまう時は、予期不安の状態になっている時に限ります。予期不安状態だと電車などに乗ることができなくなることが多々あります。
そもそも僕が予期不安の状態になってしまう時というのは、少し特殊な場面なんです。
上司などのおエラいさんの前で僕自身が評価を受ける時や、会議でおエラいさん方にプレゼンをする時、公衆の前で何かパフォーマンスするような時などで、いずれも逃げられない状態の時です。
僕が最近ショックだったのは、僕の予期不安を感じてしまう領域が「評価を受ける場面」以外にも、乗り物などで起きる広場恐怖にまで拡大しだしたのでは?と思ったことにあります。なんとかこの状況を打開しなければ、と思っています。
パニック障害の発症は、根底として、過去の過剰な恐怖体験などが元になっている場合が多いです。脳が過剰な恐怖体験として、強烈に学習してしまうんですね。
このあたりは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、トラウマ症候群のメカニズムによく似ています。この病気は日本でも、阪神・淡路大震災以降よく知られるようになりました。
過剰な恐怖を学習してしまった脳は、そういった恐怖や不安による極度のストレスを避けるため、似たような恐怖状況に対しても、自動的に予期不安やパニック発作を起こすことによって自らの体に苦痛を与え、拒否反応を起こしてその場を避けるように脳が強制指令を出すようになります。
次の段階として、一度パニック発作を起こしてしまうと、あまりの苦しみの体験から脳はパニック発作自体を恐怖体験として学習してしまいます。「次はいつ発作が起きるのだろう?大事な時に起きてしまったらどうしよう?死んでしまうのではないか?(実際に発作で死ぬということは、まずないそうですが)」という風に常に発作に対して身構え、不安な状態を自ら作り出してしまうようになります。この状態も予期不安です。この予期不安が更にひどくなると、外出恐怖を招き、家から出られなくなってしまう人も多く現れだします。
キツいのは睡眠中にも夢の内容などによって発作が起きたりすることもあり、これは対策が難しくなってきます。
それほどの恐怖の傷跡を残す「パニック発作」とは、いったいどんなものなのか?
前述した予期不安の症状が極限にひどくなったもの、と言えますが。
パニック発作は色んなもので例えられたりします。
僕の場合は、海やプールなどで水中遊泳を楽しんでいて、息継ぎをするために水面に顔を出そうとすると、突然、何者かに頭を持たれ息継ぎを強制的に中止させられる。そのパニックの状態が続いている。つまり溺れる苦しさに一番似ているのではないかと思います。
溺れたことがない人には分かりづらいかもしれませんが。
または、死ぬんじゃないか?と思ってしまうほどの恐怖感
それと僕の場合は強烈な吐き気が特徴ですね。
この苦しさは、パニック発作を経験したことが無い人でも、人為的に体験することができます。研究によると、一定量の乳酸を血中に注射することによって、パニック発作を引き起こすことができるということです。
ではどうしたら治療ができるのか。
予期不安、パニック発作を治療してゆく方法として、まず服薬治療。初期の段階では非常に有効とされています。
その次に重要なのは認知行動療法(暴露療法)などがあります。
これはどういう治療かというと、簡単にいうと脳に再学習をさせる治療です。
パニック発作や広場恐怖などで過剰な恐怖を学習してしまった脳に対して、再学習を行う治療です。
一度、脳に刻み込まれてしまった過剰な恐怖というものは、なかなか消えるものではありません。
理屈では「大丈夫なんだ!」と分かっていて言い聞かせても、いざ苦手な場所や状況に立たされると、反射的に脳が予期不安や発作によって急ブレーキをかけてしまいます。
脳の潜在意識の深いところで、学習されてしまっているからです。
この誤った学習を解除させるために再学習を行います。
再学習は段階をつけて行います。難度の低い苦手状況から始め、体の拒否反応を注意深く観察しながら、地道に難度を上げてゆきます。
具体的に言うと、パニック障害で電車に乗ることに恐怖を感じる人がいるとします。
治療の第一歩として、最初は電車に乗ろうとせず、駅まで向かいます。この時点で拒否反応があるか確認します。
達成できたら、また日を改めて、今度は駅の改札まで行きます。
拒否反応を確認します。
達成できたら日を改め、次は駅のホームまで行きます。拒否反応を確認します。
達成できたら日を改め、次はホームで行き交う電車を何分か見つづけます。拒否反応を確認します。
達成できたら日を改め、次は実際に各駅停車で一駅だけ乗って、帰ってきます。
拒否反応を確認します。
達成できたら日を改め、次は各駅停車で行ける駅数を増やします。
このようなかんじで目標を定め、最終的には最も車内での拘束時間が長い、特急や新幹線などに乗ります。
ここまで不都合なくいけば、再学習は成功したと言えます。しかし、恐怖の根とは深いものであり、また何かのキッカケで再発してしまうこともあり得ます。また、このように順調になかなか克服できないものでもあります。
だから成功したとはいえ、訓練はとうぶん続けたほうが良いでしょう。
また、満員電車の中でなど、色々な状況で試してみる必要があります。
しかし、絶対に達成しなければと、無理に行うのはよくありません。
その日の自分の体調と精神状態とを照らしあわせて、行動しなければなりません。
無理して行動して、パニック発作まで至ってしまっては、それはまるで意味がありませんから。
ある程度の不安の境界線をこえてしまったと思ったら、即座に中止し、次の日にまた挑戦すればいいでしょう。そこは地道な一歩一歩の精神力が必要になります。
このように自分で意識させ、実際に行動していくことによって「私が思っていたより、全然大丈夫なんだ!」と地道に達成を積み上げ、再学習していくプログラムが認知行動療法や暴露療法です。
前段階の恐怖による誤った学習に対して、上書きの更新プログラムを重ねていく作業だといえます。
また、認知行動療法で重要な点は、前述に示したとおり、段階付けで恐怖度を上げてゆく必要があります。
段階付けの意味は、小さなことからできるだけ多くの克服を手に入れることによって、精神的に「勝ちグセ」を潜在意識に擦り込む効果が期待され、自信につながるからです。 「勝ちグセの獲得」は治療における再学習を確立していく上で、非常に重要なポイントになるでしょう。
このように認知行動療法は地道な作業となりますが、しかし効果はいろいろな国で実証されており、それによって多くの方がパニック障害から解放されています。
僕も症状が落ち着き次第、認知行動療法をはじめていきたいです。
認知行動療法は、パニック障害の皆様にぜひオススメですので、体調がよいときなど、試してみてはいかがでしょうか。
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