テレサ・テン
スーパーセレクション

『みゆき』という名の小さな小料理屋のカウンターが、

L字に曲がる角から二つ目でひとり酒。

つまらない人間関係につきあわされたイヤな疲れが災いして、

ついいつもの酒量を越えてしまったのかもしれない。


「ねえ、もう一軒つきあわない?」


常連仲間のCさんの華奢で色白な指先が、

左の肩に触れた瞬間、

氷がほとんど溶けたままのロックグラスを、

宙で握りしめている自分に気付いて、

我に返った。


有線の、

「テレサ・テン」が、


心に浸みていた。


「わるいな、またおごるよ。」 パン衛門