「この手とこの手はさ、さわっても、さわられても、まるで別人よ。」
妻がある日、そう言います。
パンを作る、僕の両手。
言われてみれば、右利きの僕の右手の手の平は、左手に比べ、1.5倍は
厚くてずいぶん硬く感じます。
熱いものを掴んで運ぶのもこの右手。力仕事のほとんどが、この右手。
長い間にこれだけ差が出来てしまうのもやむを得ないよ、きっと。
その差が、実はパンに影響しています。
小さくて丸いパンは、2個同時に両手で作ることが多いのですが、細かい作業や微妙な力加減が得意な右手の方が仕事そのものは器用なはずなのに、左手で作ったものの方が仕上がりが美しい。
柔らかい左手が、パンにはめっぽう優しかったんですね。
気付いた日から、どうしても両手が必要なもの以外、パン作りの多くは左手にゆだねられることになりました。 致し方のないこととはいえ、ちょっぴり酷な気もします。まるで人間関係のようで。
どっちが自分かな? パン衛門
