yoko  その日、『旅の重さ』という映画を観た小学生は、「高橋洋子」という名の女優さん、大人の女性に初めて恋心を抱きました。

 意思の強さと知性を感じさせる眼差し、はにかんだ笑顔の可憐さ、長い黒髪越しに人を見上げる仕草、指の動き、慈しむように言葉を発したあとの唇のたたずまい。

 映画館の、まだ広すぎる座席で、どちらの肘掛けにも触れない場所に座ったまま、いたたまれないような気持ちで少しうつむいて、彼女の一挙手一投足を凝視し続けました。ずっとドキドキしながら。

 あれから30年以上も経つというのに、理想の女性のタイプを人に問われると反射的に、あの日の、あのスクリーンの、あの笑顔が浮かんでしまいます。 パン衛門


  写真は、現在の彼女。たしか、九つ年上だったかな。