パン作りの一日の仕事の中には、
麺棒で生地を延ばす作業がかなり頻繁にあります。
なのに、
他の仕事に比べてずいぶんおざなりな教え方、
伝えられ方がなされているように感じています。
麺棒をこなすポイントは、
「生地を麺棒で延ばす」
という安易な捉え方を改めることです。
そうだとしか思っていない人はついつい、
手粉だらけにした生地を成型台に置き、
両手で麺棒をゴリゴリ。
これが生地にとってはとても辛いことなのです。
横で見てると、
悲鳴が聞こえそう。
余計なコシが付くばかりでなく、
傷だらけで瀕死の状態。
なんとかそのまま焼いても、
ふた周りはカマ伸びが悪いために焼き上がったパンのボリュームがない。
その上、
赤っぽくまだらな色付きしかしてくれません。
麺棒を持つ右手は一定の力加減、
一定のリズム、
一定のストロークでただひたすら転がすだけ。
あとの仕事はすべて、生地を持つ左手の役割なのでした。
生地を引く左手の加減で、
生地の幅、
延ばす長さが決まります。
右手と麺棒はそれを定着させていくだけのことなのです。
一度やってみればわかります。
こんなに早く、
こんなにきれいに
生地は延ばせるのかと、きっと驚くはずです。
実はまだまだ、
生地を持つ指の数、
指の使い方、
生地を引く角度、
生地を引くタイミングなどなど、
たくさんコツはありますが、
このやり方の中で必然的に見つかっていくでしょう。
あなたの楽しいパン作りに少しでもお役に立てれば幸いです。 パン衛門