sakura

左手で 扉を跳ね上げ、

右手に持った、マグナムの銃身よりはるかに長い丸めた朝刊を、ポストのど真ん中にぶち込むと、

軽やかに身をひるがえし、

「ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ぐにゅ、ん?、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ。」


湯気立つ犬のウンコをおもいっきり踏んじゃったのに、

動じるそぶりなど微塵も見せず、

愛馬スーパーカブ『SILVER BULLET号』

にまたがった新聞屋さんは、

朝靄の中へと消えて行ったのだった。


「俺たちじゃあ、とてもああはいかねえ。」

「ヤツぁ、凄腕だ。」

「敵にだけはしたくねえ。」

「ああ。」


今朝のできごとと、夫婦の会話でした。 パン衛門