chp 乾いたタオルを半分にたたんだものを、手前から手でクルクル巻いてみましょう。
巻き終わったら、その向きのまま手のひらで、手前から向こうに、棒を一本転がす要領でコロコロしてみましょう。肘が伸びきるところまでいったら、両端を掴んで手前にもどし、また繰り返す。
すると、手の中でタオルが徐々に固く締まって、最後にはまるで本当の木のように片手で持って立つぐらいになるはずです。
ところが、巻き終わったタオルの向きを180度変えて逆から転がすと、どんどんほどけてコシが抜けていく。

パン屋の厨房では、

ソーセージに生地を巻くドーナツやコルネなど、細長く生地を延ばす成型の際、「汎用ミニモルダー」と呼ばれる、パン生地のガスを抜いてロール状に巻いてくれる機械がよく使われるようになってきました。

実は、そのあとの「延ばし」の作業をする生地の中で、まさにこれと同じことが起きているのです。

向きをそろえて成型するクセを身につけるだけで、
①成型のスピードが上がる。
②製品の形がそろう。
③メリハリのある豊かなカマ伸びをする。
④ムダなガスが抜ける。
⑤生地を傷めないから手粉をあまり必要としない。
ずいぶんメリットがあります。

パリジャン、バタール、バゲット。手成型のフランスパンだっておんなじ。


誰も気にしないそんなことだって、自分がこの仕事に関わらせてもらっている間に見つけたものは、ひとつ残らずきちんと次に伝えていくことも、パン職人の努めだと思っています。 パン衛門