sr 写真は 往年の愛車。

さてさて、ひさびさにパン屋さんらしい噺を一席。


「パンの食べ頃」、パンが一番美味しい瞬間を問われると、100人中95人の日本人が、「焼きたて」と答えます。

実際、うちの店でも、「焼きたてで~す!」と声をかけ、「焼きたて」カードを添えた途端、バタバタ売れたりするのが現実なのですが。


Q、どうして日本人は「焼きたて」に目がないのでしょう?

A、お米の国の人たちだからです。

  だってさ、「炊き立て」のごはんって、ほかになんにもいらないぐらい、あんなに美味しいのだものね。


たしかに、ソーセージやハムがのっかったパンは「焼きたて」が一番なのかもしれません。でもね、それは温かい方が美味しい「具」のせい。それはそれ。

焼けたばかりのパンって、外は硬すぎて、中は柔らかすぎて、噛みつくとペチャンコにつぶれて口の中でダマになってしまうのが現実です。パン本来のフワフワさやうれしくなるような薫りもそんなに感じられません。

イーストの醗酵臭もまだキツいし、歯にも良くないのですよ。

温かくして食べたいのであれば、冷めたものをトーストした方が、ゼッタイ美味い。


〈パンが冷めるということ〉

よく焼けた皮の芳ばしい香りが、冷める時間と共にパンの内部に浸透していきます。組織もだんだん落ち着いてパン本来の弾力が生まれる。内部に残る水分は外へ向かい、外と中の硬さの差はほどよい折り合いをつけて一体化し始めるのですよ。ほーら美味しいパンの出来上がりです。


自分の好みを言わせてもらえば、

焼けて3時間後のフランスパンが好き。

翌朝のブリオッシュが好き。

3日目のカンパーニュが好き。

10日目以降のパネトーネが好き。

25日目ぐらいからのシュトーレンが好き。

なんでそんなに細かく知ってるのかって?

日付を付けたものを30個並べて、毎日スタッフと食べ比べたことがあるからです。

皆さんもいろいろなパンをいろいろな食べ方で、それぞれの「食べ頃」を見つけると、きっとパンがもっと好きになりますよ☆


ちなみに、うちの『パネトーネ』はそういったわけで、焼いてから2週間店の奥で熟成(この時間は「老化」ではなくこのパンが最も素敵な顔になるためのエージング「熟成」とよんでいます)させてから店頭に並びます。  パン衛門