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 クロワサン のあの形、

いわれはいろいろあるようです。


パン屋になって3日目だった私は、つるはし説を先輩から聞かされました。


で。


元々へそまがりな当時18才の私の感想。


「いかにもエピソード好きなヨーロッパ人が考えそうなネタだな。」


じゃあ何故あんな形になったのでしょうか。


 バター100%で作られるクロワサン は、

両端を曲げないまっすぐな成型をすることが多いのですが、

巻いたままの生地を天板に並べると、

ホイロで醗酵する間に巻が戻って形が崩れたり、

隣とくっついてしまったり。


焼成時のカマ伸びでも同じことが起こります。


ところが、

天板に並べる際、

両端をほんの少し曲げてやるだけで

、製品が不揃いになることも、

ロスを出すことも防げます。


焼き上がった頃にはカマ伸びの勢いでほぼまっすぐになるものの、

多少曲がりが残るものもあります。


これがクロワサン の形の由来です(たぶん)。


クロワサン を成型しながら、

ふとそう思った22の秋以来、

私は確信しています。


 ただ、

もっともらしい顔をして、

もっともらしい楽しいエピソードを人に聞かせた大うそつきのパン屋の親父(たぶん)のことも、

クロワサン が転がらない工夫を考えた、

若いオーストリア人のパン職人(たぶん)のことも大好きです。


なぜなら、


いつまでも頭の柔らかい、

遊び心を忘れないそういうパン屋でありたいと、

私自身願うからなのでした。


 ぱん衛門