テーマ;家族 (え、ホント?)

 

 

Pandoria話を初めてご覧になる方へ

当ブログでは スリバンの白い服を着た人を『ハク』と名付けております。

オネエで 実母が妓生から妓楼を買い取った女傑で 妹のルビが母の跡を継いでますが、ハクも経理面で手伝ってます。

 

 

 

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「ちょっと~~! ウンス~~!! 聞いてよ~~~!!」


確か 本業は 高麗に名が轟く情報屋スリバンの しかも有能な剣士ではなかっただろうか?
それを全く感じさせないような ドタドタと廊下を足音響かせて、屋敷の自室でくつろいでいたウンスの前に姿を現したのは、ご存じ『スリバンの白い人』こと ハクであった。


「なぁに ハク姐」
「聞いてよ!! あの男! アタシを騙して 姿を消しちゃったのよ!!」
「え? つい最近まで ラブラブだった あの人?」
「そう!! お金貸したままだったのに!」
「え? ちょっと ハク姐!!」
「・・・ウンスには 『絶対お金貸すな』って言われたけど、つい・・・。でも 全額じゃないし!」


ウンスに愚痴を聞いてもらいたかっただろうハクであるが、思わぬところでウンスの怒りを感じて、急にしどろもどろになる。


実は ハクの大失恋はこれが初めてではなく、ウンスが知る限りですら数回目である。


高麗とは比較にならぬ程にLGBTQに寛容な現代であっても、その恋愛は難しい(と ソウル時代 ウンスは友人のオネエから聞いていた)のに、ましてや ここは高麗時代であるのだ。
それでも 面食いなハク(近衛隊でハクが好みだと言って言い寄っていたのは チェ・ヨンとトクマンである)が 惚れて しかも仲睦まじそうに見えた(さすがに大護軍夫人であるウンスとは面識がない)男であったが、今回もまた ハクの金目的だったようである。


実は ハク自身はそれほど自覚はなかろうが、庶民としてはかなりの金持ちなのである。


情報屋としての彼は その見事な剣技や 派手な服装な割に隠密ぶりも(今日は微塵も感じられなかったが)有能であるため、(上司が超倹約家のマンボ兄妹だとしても)かなりの高給取りであるし、その表向き稼業である薬屋でも その美意識の高さで作る化粧品の紅は 高級品ではあるものの 作れば作るだけ売れるほどに大人気であるのだ。
そして 更に 今は 実家である妓楼の (実質的なものは実妹ルビに譲った形にはなっているのだが)名目上オーナーと『相談役』という名の帳簿係としての収入もある。
王族や貴族と比べてしまえば 上にキリがないが、庶民としてはハクは相当な高収入と言える。


そして、その美意識的に 特に服にこだわりを持っているハクであるが、庶民で黄色がかった生成りではなく 白の服はかなり高いものとはいえ さすがに毎月仕立てているわけでもないわけで 支出は意外と限られているのである。
したがって ああみえて結構堅実にため込んでいたのであった。


だが、過去数回 今回のように 男が何らかの理由でハクから金を借りて姿を消すことがあり、ウンスはハクに 『金を貸してという男に金を渡すな』と釘をさしていたのだ。
今まで 言われるがままにホイホイと金を出していたハクとしては 『全額は出してない』は進歩なのかもしれないが、ウンス的には怒りの対象なのである。


「・・・で? 探すの?」
「・・・ここ数日 スリバンの仕事で 開京離れてる間に姿消したみたいでさ、初動が遅れたから どうだろ。スリバン動かすのも ちょっとね」
「・・・うん」


スリバンの一員であっても、スリバンを動かすにはマンボ兄妹の許可は必要である。しかも今回は間が悪いことに数日都を離れている間の出来事でもある。
男がごく普通の考えならば とっくの昔に開京から逃げているわけで、逃走手段にもよるだろうが数日たった現在 捜索範囲は広すぎて、捕まえるのはあまり現実的ではない。
心情はともかく 元は優秀なスリバンの一員であるハクが、冷静に現状を把握して諦めるのも 無理はなかった。











「・・・って、ことがあったのよ!」
「・・・そうか」


ウンスがそう報告したのは 更に数日後、夫チェ・ヨンが国の南のほうへ 海賊目撃情報があったために数日間視察に出かけ 戻った夜のことである。
チェ・ヨン的には ハクが失恋して金をだまし取られるのは、ウンスが知るよりももっと数多く知っていることもあり、ある意味『またか』以外の感想が出てこない程度であるのだが、妻ウンスが『友』と呼べる数少ない相手の話であるが故に 大人しく話を聞いているのである。
(ちなみに 本来であるならば 肉体的性別から ハクをウンスの近くに置くなど遠慮したいチェ・ヨンなのだが、当人たちが『女同士』と言い張るので 一応認めているらしい)


「でもね、やっぱり『家族』なんだな、って」
「家族? 妓生のルビか?」
「いいえ、マンボ姐さんよ! 『アンタのことだから 金に困っても絶対言ってこないだろうけど お見舞いだよ』って ハクに支援してくれたんですって!」
「・・・そうか」
「・・・まぁ、それなのに普段より低いとはいえ利子つきなのが マンボ姐さんだな~って思うけど」
「・・・・・」


ハクから何も言われていないのに 普段より低金利とはいえ金を貸してくるのは、立派な『押し売り』ならぬ『押し貸し』であるのだが、ウンス的には『家族愛』らしい。
チェ・ヨンは 言いたいことは山のようにあるのだが、折角愛妻が機嫌よさそうに笑っているため、とりあえずは数日ぶりに会った温もりを満喫することを優先することにしたのだった・・・。






・・・ウンスは知らない。

今回に限らず ハクが騙されて失恋するたびに、スリバンは 相手の男が開京を出る前にその身を捕まえ、ハクの金を取り返すだけではなく、その金額以上の金を 別の金貸しから借りさせて取り上げ(慰謝料のつもりらしい)、挙句その男を裏社会に売り払っていることを。
それでいて ハクに利子付きで貸しているのだから、スリバンは ハクの被害額の3倍近くの利益を得ているのである。

裏社会とは その男によって異なるのだが、ハク好みの見目の良い男だった場合は 妓楼街の裏通りにあるという 男を売る妓楼であることが多い。
ハクは 身体が男でも心は女なので 男を買う店には寄り付かないため知らないらしいが、たまにハクの妹であるルビが愛用の張型を片手に通っているという噂もあるようだ。
(実際 借金を返し終わった男は ルビによってズタボロになるまで物理的にいたぶられるらしい。これも『家族の情』なのかは分からないが)


「・・・・・」


だが、マンボたちが ハクを騙した男から得ていた金を ハクに返すのではなく 利子付きで貸すことで 更なる金を得ていたことまでは さすがのチェ・ヨンも知らなかった。
一応 男を捕まえるために それなりの手間と費用を要することは承知しているため、男に借金をさせてその金を奪っているのも 知りながらも見逃してはいたのだが。


「・・・さすがに守銭奴すぎるな」


ボソリと呟き マンボ兄妹に注意しなければ、と チェ・ヨンは心に誓う。


・・・次のハクの『恋』でも、ウンスの『どんなに好いた男でも 金を簡単に渡すな』という忠告が ハクには守られないことを 彼も確信しているようだった・・・。






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久々に書くから『短め』だったはずなのに・・・(苦笑)

テーマ;家族って どこがやねん! って感じですが(笑)