キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ今は亡き友人・てんてんmamaさんに捧げますキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

 

 

 

 

その日は 泣くことができない『彼』の心の内を代弁するかのように かろうじて降りだしてはいないものの 今にも泣きだしそうな曇り空だった。


親しい人を亡くしたチェ・ヨンは 妻ウンスや子供たちと共に 菩提寺である山寺へと訪れている。
上の子たち三人は 故人とそれほど親しくしていなかったけれど それでも神妙な表情で 普段よりも大人しくしている。
末っ子のヨンスだけは 葬儀ということがどういうものか、どういう意味があるのかを知らずに 元気いっぱい走り回っているのだが。


「・・・いつか こんな日が来るとは 頭では分かっていたつもりだが」
「・・・うん」


ポツリと小さくつぶやくチェ・ヨンに ウンスは頷く。


高麗時代の末期であるこの時代、寿命はけっして長いものとは言えない。
勿論 度重なる戦のせいで 男性が戦死したり重傷を負うことで 足を引っ張っているのかもしれないが、それ以外でも 現代のように医学が発達していないために 簡単に人の命は失われていった。
それを考えれば 長生きした方なのかもしれないが、それでも残された方にしてみれば 辛い別れである。
親しかった者たちが、数人づつ集まっては 故人の懐かしい話をそれぞれしているようだった。


「・・・イムジャは・・・」
「うん? どうしたの?」


ポツリポツリと呟いていたチェ・ヨンが 不意に口ごもる。
ウンスが首をかしげて夫を見上げると 普段の彼にはとても珍しい なにか言いづらそうなそんな表情をしていた。


「・・・人は 死んだら・・・どこに行くのであろうな?」
「・・・さぁねぇ、それぞれ信じる神によって 言ってることが違ったから 私だって分からないわ」
「そうなのか?」


チェ・ヨンがウンスの答えに意外そうな表情をする。
彼がほんのつかの間見た『天界』は 見たことがないもので溢れていた世界だった。
そんな世界で生まれ育ち、『天界ではできるのに ここでは無理だわ』と悔しそうな表情をすることがたまにあるウンスを よく見ているせいか、天界は万能であり 何でもあり何でも知っている世界だ、と思い込んでいたのだ。


「あら 当たり前よ!」


チェ・ヨンの意外そうな表情が ウンスにとっては意外だったのか、ウンスも苦笑して言った。


「だって、私 死んだことないもの! 死んだ先なんて 結局誰も 正解なんてわからないわ」
「・・・それもそうだな」


死んだ先にあるものを知ることは 死ぬということである。
その先に何があったかを 生きている人が知るすべはないのだ。
それは当然 高麗であろうが 天界であろうが 変わらない事実なのである。


親しい人を失うのは とても悲しいし寂しい。
けれど 人の営みはそうやって続いていくのだ。
時の権力者が 独裁者であればあるほど 『不老不死』を求めることを 歴史で知っているウンスは、泣き出しそうな真上より 青く澄み渡っている彼方の空を見つめて言った。


「人は死んだら 『天へと向かう』って言う人もいたわ。ただ『天』がどこを指すのか分からないのだけれどね。雲の上だと言う人もいるけど、雲一つない青空の場合 どこに住んでいるのかしらね?」
「・・・イムジャ」


『天界の医員』が『天』を真っ向から否定していいのか、とチェ・ヨンは口ごもる。
天界からウンスをさらい 四人の子を得るだけの時が経過してもなお、チェ・ヨンは未だ罪悪感があるらしい。


「『風になる』という人もいたわね。 私はその考え方が好きだわ。 肉体から魂が離れて 地に縛られることもなく、どこまでだって行けるもの。 私だったら肉体は火葬してもらって 魂になって風にのって貴方にくっついてどこまでも行きたいわ」
「イムジャ!」
「怒らないでよ! 半年だけれど私の方が年上だし、超健康な貴方より 私が先に逝くのは当然でしょう?」
「・・・・・」


かつての毒のせいで 子供を産むごとにウンスの身体は病弱になっていったような気がするチェ・ヨンは、この手の話にナーバスなのだ。
だが、ウンスは歴史を知っているために 『チェ・ヨンが誰にどうやって殺されるのか』を知っていて、でも『彼』はウンスが命を救った相手でもあるから 彼女が生きている間にそんなことがあるはずがない、と分かっているのだ。


「・・・あ! ははうえ! にじ!!」


駆けずり回っていた末っ子のヨンスが、空の灰色と青の境目を指さして叫んだ。


「あら、本当だわ」


真上の曇天か遠くの青空ばかりを見ていて 虹に気付かなかったウンスは、眩しそうに七色の橋を見つめた。


「そういえば 『虹を渡って向こう側へと行く』っていうのもあったわね」
「・・・虹を渡るのか?」
「ええ。もちろん生身の身体では無理よ? だから魂となって、ね」
「ああ、なるほど」
「・・・虹の彼方には何があるのか やっぱり分からないから、『正解はだれも知らない』っていうのが 結局結論よね」
「まぁ、そうだな」


故人は はたしてどこへと行ったのか。
生前の性格を考えると ウンスと同じように『風になる』が一番似合うきがするのだが。


「・・・あ」
「イムジャ?」
「・・・そう言えば、私 一瞬死んだけど 生き返った人を知ってるわ!」
「・・・そうなのか?」
「もちろんほんの一瞬だけど、心臓は確かに止まったもの! 死後の世界に一番近くない?」
「・・・そうだな」
「で、どうだった?」
「は!?」
「貴方のことよ? チェ・ヨンさん? お腹に鬼剣刺した時!」
「・・・ああ」


ウンスが優れた医員であることは知っていたが、一瞬とはいえ死者になった者さえも生き返らせるのか、と思ったら まさか自分のことだったとは さすがのチェ・ヨンも思い浮かばなかったらしい。


「・・・どうだっただろうな」
「なぁ~んだ。貴方でも 分からないのね」


長い夢を見ていた気がするが、あの時のことは チェ・ヨンでも覚えてはいない。
ただ 目覚めたときに彼女はすでにその場にはいなかったが 不思議と『彼女に生かされた』と思っただけだ。


「・・・貴方と一緒だったら 虹の彼方へと遊びに行くのもいいかもしれないわね」
「二人きりであったらな」
「・・・心が狭すぎない?」
「どちらが先だったとしても 待っていると約束してくれ。イムジャは気が短いからな」
「あら 酷い言われようね!」


六百年以上の時が隔てていたのに 出会って恋に落ちた二人だから この縁は 来世にも続くのだろう。


虹の彼方に。
二人であったら いつか訪ねるのも悪くはない。
チェ・ヨンはそう思ったのだった・・・。









 

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早いもので 突然の訃報から2年です。

ピグの畑で 水友(畑に水をかけあう友)でしたが、チャットが苦手だと あまり話はできませんでした。

(スマホでピグやってたからだと思う。PandoriaはPCだったし オンラインゲームでチャット慣れしてるから 文字打つの早めだけど)

忘れないことが 一番の供養だと思うので 頑張って書いてみましたが、平日の昼の12時投稿 私仕事中~~ってことで 前夜のうちに予約しないと行けないので 相変わらず締め切りとの闘い(苦笑)

ネタが思い浮かばず 時の神は出せませんでした(´;ω;`)ウッ…

 

チェ・ヨンが一度一瞬死んでいるというドラマ設定 思い出せてヨカッタ(笑)

なんかオチが締まらないな^と思ってたので ちょうどよかった~(笑)

 

話の中での故人が誰を想定したものかは それぞれにお任せします。

(ちなみにPandoriaはマンボ兄です ←書いとるがな)

なんとなく マンボ兄を失ったあと マンボ姐さんはチェ尚宮叔母様と鉄原に隠居しに行っちゃうんじゃないかな、と思ったり。

 

最後になりましたが 豪雨災害の被害に遭われた方がいらっしゃいましたら 心よりお見舞い申し上げます。

 

Pandoria