元々 医師を目指した理由は 手っ取り早く成功できるし 自分にそれだけの学力があると思っていたからで、決して『他人のために役に立ちたい』とかいう崇高な理由からじゃない。
でも それでも 『他人のために役に立ちたい』と思っていないわけじゃない。

高麗という時代では まだまだ医師という職業は 男性だけのものだ。
男女不平等な歴史を 明確に明らかにすることはできないから、医学部の授業でも そんなことはハッキリとは言わない。
だが 運命の悪戯というべきなのか 現代生まれの私ユ・ウンスは 現在 高麗末期と言える時代にいる。
そして いちおう建前では『男女平等』だった時代から ハッキリ明確に『男女不平等』な時代に身を置いているのだ。


・・・そして今 私ユ・ウンスは混乱している。
高麗で唯一の女医である私のことを 『女の医者』など認めない重臣たちは とても警戒していた。
(逆に 職場である典医寺では 温かく迎えてくれたのだが、それは責任者であるナム侍医の力が大きいのだろう。チャン先生の親友だった彼は 彼からの手紙や残した日誌から 私のことを会う前から好意的に思っていたくれたようだから)


少しづつではあるが 女医(わたし)という存在が受け入れられ始めたのは 王妃様と大妃様のお力が大きい。
『医員とはいえ 男性には話しにくいことがある』と 私の存在を頼りにしてくださったのだから。
確かに 手首・足首から上を 夫以外に晒すな、という高麗の常識(ウンス自身は未だ疑っているのだが 彼女の夫はそうだと言い張っている)では 男性である医者に身体を診せる、という行為すら なかなか難しい。


初めは王妃様や大妃様、叔母様に受診を命じられた武閣氏たちだけだったけれど、少しづつ女性の患者さんは増えていった。
医者として従事できればよかったのかもしれないけれど、私が高麗に戻ってきた第一の理由はそれではないから 申し訳ないけれど 全員を診れたわけじゃない。
だけど 頼りにされて やっぱり嬉しかったから できるだけ患者さんの力になりたかったのだ。


・・・だけど。


「あの・・・、医仙さまに 貴族の妻としての・・・、その、 夜の心得を お伺いしたくてっ」


・・・どうしてこうなった・・・?

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!!!!!」


声にならない笑い声をあげて 卓をバンバンと叩いているのは、彼女の悪友だ。


「もう! ハク、いい加減にしてっ」
「・・・で、その貴族の若奥様に どう答えたの? アンタ」


ケラケラと笑いながら ウンスの悪友すなわちスリバンの白い人ことハクは ウンスにそう言って またニヤリと笑った。


「・・・私も 詳しくないから 夫にお任せしてるので、私ではお役に立てないかも、って とりあえずごまかしたわ」
「・・・それって ごまかすも何も 事実じゃない?」
「・・・・・まぁね」


ウンスが 高麗の平均的な嫁入り年齢よりはるかに(二倍以上という噂もある)遅く チェ・ヨンの嫁になったとき 彼以外の男を知らなかった、というのは ハクにとっても意外だった。
高麗では 下手すりゃ他の女よりも頭一つ大きかったりするが 笑顔はキラキラしているし 胸だって大きい。
性格がやや男よりなのは事実だが モテないとは全く思わなかったのだ。
(ちなみにウンス本人は『医者になるための勉強で手いっぱいだったからで モテなかったわけではない』と言っていたが)


「で、どうすんの? その若奥様 簡単に引いてくれた?」
「・・・だから ハクにお願いに来たのよ~!」
「・・・いい予感がしないわ」
「ルビさんに会わせて~~~!!」
「・・・やっぱりね」


閨事なら閨事のプロに聞けばいい、というのが ウンスの結論だったらしい。
ハクの妹で 街一番の妓生であるルビへの紹介を頼む、というのである。


「・・・会ってどうすんの?」
「若奥様の話を聞きつけた 他の女性たちが、自分も聞きたい!って 聞いてくるのよ! 私に閨事なんて 教えられるわけないでしょう!?」
「そりゃ そうよね」


ウンスはいい女なのだが 普段色気のようなものは一切みられない。
(心の狭いことで有名な彼女の夫が いわゆる事後の 艶をまとった彼女の姿を誰にも見せないのだから当然である)
彼女は自分の夫しか知らないため 他人の閨事の相談など乗れるはずもないのだ。


「・・・お願い! ルビさんに聞いてみてっ!」
「・・・まぁ 報酬次第?」
「う・・・、が、頑張る・・・」
「・・・聞いてみることは 聞いてあげるわ」
「ハク! ありがとうっ!!」


ハクにしてみれば 妹ルビのことを知りぬいているために かえって面倒事になることは薄々承知していたのだが、ウンスの頼みを断ることはできなかったのだ。


『ま、あいつのことだから 面白そうって 乗ってくるだろうけど・・・』


事実 ルビは二つ返事で 貴族の若奥様たちを集めた 『夜の夫婦生活お勉強会』を引き受けてくれた。


ちなみに、ウンスのあずかり知らぬところで ルビの性癖(本当は女の身体のほうが好き)がいかんなく発揮されてしまったらしく、参加者の若奥様の数人が 彼女の毒牙にかかってしまったのだが 運よくそのことはチェ・ヨンにすら伝わらなかったらしく ハクは一生懸命もみ消したのだ。
更に ルビがその奥様たちに使ったのが いわゆる男性の象徴を模した木型で その特大サイズを『チェ・ヨン』と呼んでいたことから チェ・ヨンの唯一の奥方であるウンスは あるごく一部の女性たちから『あの方はスゴイ』と 言われていた、ということである・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫しっぽ猫からだ猫からだ猫あたま 熊しっぽ熊からだ熊からだ熊あたま 黒猫しっぽ黒猫からだ黒猫からだ黒猫あたま ビーグルしっぽビーグルからだビーグルからだビーグルあたま 牛しっぽ牛からだ牛からだ牛あたま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真面目な書きかけは一向に進まず こんなのばっかり思い浮かぶ笑い泣き

 

ルビがちゃんと出てくる予定だったのですが 時間がない滝汗

 

ウンスが 自分の旦那のことを思わずノロケてしまうバージョンも考えたのですが 大護軍の体面がボロボロになりすぎて 修正できそうもなかったので こうなりました・・・。