最近ウンスは 夢など見ることはほとんどなかった。
名門貴族の夫人ながらも持っているお役目や 家事自体には煩わされなくても一家の女主人である彼女には することが多く、毎日疲れ切って眠るため 熟睡しているのだろう。
・・・と言えればいいのだが、彼女が疲れ切っている原因のほとんどは 『夫婦』としての年月がいくら経とうとも 相変わらず妻にご執心である 夫のせいである。
その日 ウンスが久しぶりに夢を見たのは その夫が不在だったからなのかもしれない。
(とはいえ 彼女の夫が戦などが理由の不在である場合、ウンスの気が張っているのか そういうときも夢は見ないらしい)


「イムジャ!」
「・・・え・・・?」


魘されている様子のウンスを起こしたのも やっぱり夫であったのだが。
昨晩は 相変わらず『長い』と評判の 重臣たちの会議に巻き込まれた彼は 『帰れそうにない』と伝言してきたため ウンスも彼の帰宅を待たずに 早々に就寝していたのだった。


「・・・おかえりなさい」
「ああ」
「今戻って来たの? 間もなく夜明けでしょう?」
「ああ。着替えるほどしか時間はないがな。起こすつもりはなかったが イムジャが魘されておった故 声をかけたのだ」
「・・・うん。変な夢を見てたみたい」


目が覚めれば つじつまの合わないことばかりで 夢だと分かるのだが、夢の中での彼女は必死だったのだ。
ふぅ、と知らずに漏れた溜息を地獄耳が聞き逃すことはなく、チェ・ヨンは妻の顔を覗き込んだ。


「変な夢?」
「ええ」
「・・・どのような?」
「・・・・・」
「イムジャ?」
「・・・言っておくけど 夢の話だし、正夢だとか逆夢だとか 夢解釈はいらないからね!?」
「ああ」


夫である彼にも言えない内容の夢、というわけではなさそうだが 夢の内容を話す前に そんな前置きをするくらいだから 夢の内容はチェ・ヨンにとってあまりいいものではないらしい。
若干眉間のしわを濃くした彼の機嫌を取るかのように ウンスは夫に抱きついてその広い胸に顔をうずめた。


「本当に変よね。ここは一番安心する場所なのに・・・」
「イムジャ?」
「夢の中で 私、貴方に無理やり乱暴されそうで 逃げ回っていたのよ?」
「は!?」
「それがね、顔も体格も名前も貴方なのに 状況が違うっていうのかしら? 私は・・・そうね、女官みたいな服を着ていて 貴方は高貴な人みたいだったわ!」
「・・・それは・・・」
「だから、変な夢だと言ったでしょう? 高貴な身分である貴方にしか思えない男に それでも立場を盾に 強引に迫られて 夢の中の私は 恐怖で逃げ回っていたのよね~。 本当に 何であんな夢見たのかしら」


実際のチェ・ヨンはウンスの夫であり よほどの体調不良でもなければ 迫られたとしても 断るつもりもない。
第一 夫婦なのだから 身分差を盾にというのも 変な話である。
現実離れしているところが 夢あるあるなのだが、その時は違和感も疑問もなく ただただ彼が恐ろしい存在だったのだ。


「・・・それで 結末は?」
「え? 結末って?」
「・・・イムジャは その男に 乱暴されたのか?」
「その男って言っても 貴方なんだけど。 いいえ、ヤバイって諦める寸前に 本物の貴方が起こしてくれた」
「・・・そうか」


ふぅ、と 見るからに安堵した息を吐くチェ・ヨンに ウンスはおかしくなる。


「だから、貴方だったんだってば! まさか 夢の自分に対してまで悋気だなんて 言わないでしょうね?」
「さすがに 俺も そこまで狭量ではないぞ」
「・・・そうかしら?」
「・・・・・」


ここまでくると 夢の話も内容なんてどうでもよく、ただ本来起きるまでのわずかな時間を イチャイチャしているだけだ。
昨晩眠るまでの間に夫がいなかった分を埋めるかのように ウンスはチェ・ヨンに甘えた。


「今は時間がないが 今宵は早く戻る故 悪夢を消そう」
「ふふふ。悪夢ってほどじゃなかったのに。第一 今日も朝から会議の続きなんでしょう? 本当に早く帰ってこれるの?」


勿論彼女の夫が超がつくほどの有能な男なのは ウンスもよく分かっているが、昨晩は終わり切らずに翌日に持ち越したような議案を そう簡単に終わらせることなどできるのであろうか?
まぁ 実行できるのであれば そのご褒美としての夫婦の時間を過ごすのは ウンスにとっても文句はない。


「ああ、もちろんだ」
「そう? 待ってるわ」


『約束』代わりの口づけを交わし 二人は熱い夜を心の中で期待しながら 艶やかに微笑む。


その夜が 実際二人がどう過ごしたのかは 残念ながら 二人だけの秘密である・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫しっぽ猫からだ猫からだ猫あたま 熊しっぽ熊からだ熊からだ熊あたま 黒猫しっぽ黒猫からだ黒猫からだ黒猫あたま ビーグルしっぽビーグルからだビーグルからだビーグルあたま 牛しっぽ牛からだ牛からだ牛あたま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短っゲロー

(長くできなかった・・・)

 

 

ここ最近ずっと 小説投稿サイトである『カクヨム』や『小説家になろう』を徘徊しているPandoriaなのですが、やはり 『中華後宮』系が好きなようです滝汗

しかも 女の主人公が 色気皆無なのに 何故か超美形の貴人に気に入られて 結構無理やり迫られてかわしているのが 更に好みらしい笑い泣き

そんな内容を シンイに持って来たかったのですが 王様は王妃様とラブラブだし(ウンスよりも背が・・・以下自主規制)  もう一人の王族は書きたくないゲロー

ということで 初めから夢オチ真顔

 

というか ヨンは 『それって 奴では??』と 勘付いているのですが ウンスの前で名前も出したくない模様。

どさくさ紛れに 夜の約束取り付けているし 最近扱い悪かったので 優遇(笑)