こんにちは。
先日BO(ブックオフまたは“某お店”)で1,600円もの超絶(!)大人買いをした話を書きましたけれども、その中には5冊の北杜夫も入っておりました。
http://ameblo.jp/pandoramethod/entry-11177684479.html
作家名に関してはこれからも敬称を略させていただきます。
北杜夫と聞いたみなさんの反応はだいたい想像がつきます。
いまさら北杜夫? マンボウ、マブゼだっけ?
本人が「清純作家」と自称するだけに、青春作家の悲劇ですね。
10代で愛読し、20代で紐解くにはすでに遅く、30までに出会わぬ人は一生縁が無い。
というような存在。
多くの人が「どくとるマンボウ航海記」「船乗りクプクプ」は手にするけれど「夜と霧の隅で」「楡家の人々」まで行くとけっこうマニアックになってくる。
あとは遠藤周作との対談やエッセイなどを数冊というところでしょうね。
かくいう私は「夜と霧の隅で」「楡家」「幽霊」「木霊」「白きたおやかな峰」など主要小説から対談・エッセイまでけっこう読破しましたよ。20年前までは…
北先生はちゃんと大人の読書に耐える立派な作家です。
残念ながらこれから50年後の文庫リストに北杜夫はデビュー作「どくとるマンボウ航海記」の他数冊しか残っていないでしょう。
この点はデビュー作イコール代表作という“桎梏”から終生逃れられなかった
オードリー・ローマの休日・ヘプバーン
アラン・太陽がいっぱい・ドロン
の二人を想起せずにはいられません。ちょっと違いますか。しかもドロンは存命だっての。
航海記はデビュー作でもないし…
なぜ北杜夫を再度購入する気になったかというと、昨年物故されたというニュースに加え、噂に聞いていた「株取引」破産の経緯を読んでみよう。と思ったわけです。
買ったばかりで未読ですが、株で破産に至る経緯は「マンボウ酔族館」に詳しいようです。
その読後感などは機会があったら述べるとして、今回注目したのはカバー折り返しの出版目録。
よく文庫のカバー折り返しには著者の刊行リストが載っていますね。
北杜夫の場合、
マンボウ酔族館パート1 平成4年刊行 リスト掲載42作
マンボウ酔族館パート2 平成6年刊行 リスト掲載34作
マンボウ遺言状 平成16年刊行 リスト掲載16作
マンボウ恐妻記 平成21年6刷 リスト掲載13作
どうです。「恐妻記」が発刊4年で6刷を重ねてそこそこ売れてはいるものの、出版点数ははっきりと下降しています。
特に平成6年から16年のあいだには半減。リストを見る限り「大量絶滅」という感じです。
昨年物故されたという事情でしばらくは復刊が続くでしょうが、いずれは代表作を残して消えて行くことでしょう。
長年リストに鎮座し続けたアポロ計画見聞記「月と10セント」も、山岳小説の名作「白きたおやかな峰」も今は載っていません。
株で破産した際に北は新潮社に対して多額の借金を願い出たといいますから、そのへんの事情もあるかも知れません。
しかし、ならばこそ新潮社も売上げから返済させるべく北作品をプッシュし、売り込もうとするのではないでしょうか。
やはり時勢に合わなくなった。売れなくなったという事情が大きいのではと推測されます。
その証拠に「マンボウ酔族館パート1と2」はすでに平成16年の「遺言状」にも掲載されていない短命ぶり。
他にもマンボウ氏の著作には「大日本帝国スーパーマン」「父っちゃんは大変人」「怪盗ジバゴの復活」などという超短命作品が少なくありません。
超短命ということは上記3作などは北杜夫作品の中ではレアな作品ということになります。
新潮100選にも選ばれ、老若男女が名前だけは知っている「北杜夫」にしてこの惨状なのです。
北杜夫より当然「出版点数」も「発行部数」も少ない、並み居る木っ端作家はどうでしょう。
出版不況にデジタル化。1冊でも文庫化されればそりゃ行幸。親戚一同鼻高し。
という時代になっているのです。
余談ながらその点筒井康隆はすごいですね。筒井で絶版になっている文庫なんて殆どないのではないでしょうか。この話はまた後日。
北杜夫でさえレア文庫になる可能性絶無といえない今日この頃。他のマイナー作家に注目すべきチャンスが到来しました。
青田買い。見込み買いのチャンスです。読んだ後はまたーりと熟成させておくというような。
最近私にも遠藤周作文庫「第二怪奇小説集」落札価格¥2,400なんて例がありました。
今日は天気もよく、花粉が少ない。
某お店(BO)は競争が激しいし、あまりレアなものもなさそうだから一般古書店へ行ってみましょうか。
バーコードがないからビームせどりは無理?
そうですか。ISBNコードがあればケータイでピコピコできるでしょう。
それもない?
うーん。やっぱパンドラ・メソッドの登場か。
せどりツールを捨てよ。パンドラ・メソッドで街へ出よう!
清純作家にふさわしく爽やかにまとめてみました^^。
北先生。いろいろ書かせてはいただいたものの、10代20代いつもあなたの作品に満ち満ちた極上のユーモアが私の糧、癒し、慰めとなりました。ありがとうございます。
未読の本を見つけるたびに手に取り、終生読ませていただきます。合掌。
ビームせどりより速く、電脳せどりより早い。パンドラ・メソッド。
http://pandoramethod.greater.jp/pandora_sublime.html