「藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美」展―東京都・サントリー美術館 | パンデモニウム

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※何度かのブログフォーマット変更により改行ポイントがずれてしまい、ほとんどのページがガタガタになっております。
読み難くて申し訳ないです。

 ↓ 産経ニュース(2015.8.27) より

 

口径約12センチの碗(わん)をのぞきこむと、小さな宇宙が広がる。

黒釉に星をちりばめたような斑文(はんもん)が浮かび、周りを瑠璃色

の光彩がきらめく。

まるで天の川だ。

 

国宝「曜変天目(ようへんてんもく)茶碗」

この天下の名碗を含む藤田美術館(大阪市)の至宝を集めた展覧会

がいま、東京都港区のサントリー美術館で開かれている。

 

 ↓ 碗を上から見たところ


曜変天目茶碗01 藤田美術館蔵

 

本展カタログによれば「曜変」とは焼成中にさまざまな条件が絡み

合い釉薬に変化が現れる「窯変」のうち、特に星のような光彩がある

ものに「曜」(光輝くの意)の字をあてたものという。

曜変天目茶碗は南宋時代(12~13世紀)に中国福建省の「建窯(けん

よう)」で焼かれたが、完成形で現存するのは世界に3点のみ。

東京の静嘉堂文庫美術館、京都の大徳寺龍光院、そして藤田美術館

が1点ずつ所蔵し、すべて国宝に指定されている。

 

うち藤田美術館のものは徳川家康が水戸藩主に譲ったと伝わり、大正

7年の水戸徳川家の売り立てで、関西屈指の実業家だった藤田

傳三郎(でんざぶろう)(1841~1912年)の長男により購入された。

碗の内側だけでなく外側にも青い星のような模様が浮き上がり、

妖しい美しさが見る者を引き込む。

 

これだけではない。

ポスターに掲げられた本展キャッチコピー「名品ずらり。めっちゃええ

やん!」は誇張ではない。

大阪城に程近い場所にある藤田美術館は、国宝9件、重要文化財

52件を含む2100件超と、充実の東洋・日本美術コレクションを誇る。

傳三郎と息子2人が収集したもので、年に2度の企画展で公開されて

いるが、「大規模な館外展はこれまで行われておらず、その至宝を

東京で一堂に見られるのは初」(サントリー美術館の上野友愛学芸員)

という。

 

幕末の長州・萩に生まれた傳三郎は、明治維新後に製造業や土木

建設業、鉱山経営など多様な事業で成功する一方、数寄者として知ら

れた。

彼は、政府の欧化政策による伝統文化の崩壊を危惧。

特に廃仏毀釈(きしゃく)により仏教美術が破壊されたり海外流出した

りする事態に、私財を投じて阻止しようとした。

例えば国宝「大般若経」(奈良時代)は奈良・薬師寺に伝わった写経の

名品。

快慶による美しい顔立ちの「地蔵菩薩立像」(重要文化財、鎌倉時代)

は同じく奈良の興福寺の旧蔵だった。

さらに貴重な平安時代のやまと絵「両部大経感得図(りょうぶだい

きょうかんとくず)」(国宝)も、奈良の廃寺に伝来したものという。

 

仏教美術に限らず茶道具、絵画、墨蹟(ぼくせき)、金工、漆工、能

装束など、傳三郎らが日本美術を幅広く、系統立てて収集した背景

には「芸術文化は国の基盤」として保護する使命感があった。

道楽や趣味を超えた、明治の実業家の気概が伝わってくる。

 

「藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美」展は9月27日

まで。

一般1300円。火曜休。会期中に展示替えあり。(電)03・3479・8600。

(黒沢綾子)

 

 

曜変天目(茶碗)

  ・・・天目茶碗は、天目釉(ゆう)と呼ばれる鉄釉を掛けて焼かれた

   陶製茶碗です。

    現在の中国浙江省、天目山の仏寺で使われていた物を日本

   の禅僧が持ち帰った事から名付けられたと云われています。

    曜とは煌き、時に星を指します。曜変とされる条件は、黒釉

   に大小の星の様な斑紋が浮かび、その周りには日暈月暈の

   様な七色の光彩が輝いている事です。

    中国・南宋時代に作られていましたが、以降、製法は絶え、

   現存する物は世界で4点(内、MIHO MUSEUM蔵の物は油滴

   天目とする説有り)で、全て日本に有ります。

    静嘉堂文庫、藤田美術館、大徳寺龍光院の物は何れも国宝、

   MIHO MUSEUMの物は重要文化財に指定。

    しかしながら、中国では完品はおろか、2009年になるまで

   陶片も、文献も残っておらず、謎とされています。

    藤田美術館の物は、高さ:6.8㎝、口径:12.3㎝、高台径:3.8㎝

 

 

焼き物は、小さい頃から身近でしたが、物の良し悪しは分かりま

せんし、収集に熱を上げる程でも有りません (;^ω^)

しかし、ブラックオパールやラブラドライトの輝きにも似た この曜変

天目には目を奪われます・・・って、そりゃ国宝ですもんね

 

再現に挑戦し、成果を出している陶芸家もいますが、全容は未だ

謎。

何故、これ程の物がごく限られた時代・地域でのみ作られ、断絶

してしまったのか・・・

そんな中、何故、日本にだけ渡って来たのか?

明らかになる日が来るでしょうか?

 

 

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