↓ ナショナルジオグラフィック公式日本語サイト より
インド西部で風変わりな交尾様式を持つ新種のカエルが発見された。
西ガーツ山脈の湿林で発見されたクンバラナイトフロッグ(Nyctibatrachus
kumbara)は、逆立ちをしながら交尾して木の枝などに卵を産み付け、産んだ
卵に泥を塗り付けて保護する。
このような行動を取るカエルが見つかったのは世界で初めてだという。
「Zootaxa」誌に5月16日付で発表された研究によると、名前の「クンバラ」という
言葉は、この新種のカエルが生息するインド西部ウッタラ・カンナダ地方の言語
で「陶芸家」を意味する。
バンガロールにあるインド科学研究所の両生類研究者で今回の論文著者の
一人、コタンビル・バスデバ・グルラジャ(Kotambylu Vasudeva Gururaja)氏に
よると、クンバラナイトフロッグのオスとメスは、出会うと後脚で立ち上がり、川面
の上にある枝や植物、岩などの卵を産みつける場所に触れる。
そして、交尾中にメスはオスを背中に乗せたまま逆立ちをし、卵を産み始める。
研究チームはこの夜行性のカエルを2006年に最初に発見し、観察や映像記録を
行っている。
↓ 交尾の儀式をするクンバラナイトフロッグの雌(左)と雄
◆アクロバットのような交尾
オスは卵を受精させるとメスから飛び降りるが、メスは逆立ちをしたまま、長けれ
ば20分もの間、卵を産み続ける。
グルラジャ氏によると、このカエルが後脚で立つのは卵を産む場所を示すため
ではないかと研究チームは考えているが、確かなことはわからない。
また、メスがオスの体の大きさを確認するためであるかもしれない。
「メスはオスの体長を確認しているのではないかと考えられる。オスはメスが卵を
産む直前に精子を放出するので、オスの体が小さいと、空中に産みつけられた
卵に精子がうまくかからない可能性がある」。
メスが体の小さなオスとは交尾をしないことがあるのも、同じ理由からかもしれ
ないと同氏は述べた。
◆両生類の陶芸家
メスが多くて7つの卵を産んだ後にオスは、これまでカエルについては報告された
ことのない方法で育児を行う。
「オスは前脚で泥をすくい、後脚で立って卵を泥で覆う。人間のように指を使って
作業をする」とグルラジャ氏は説明する。
まるで陶芸家の作業のようなこの泥塗りには25分ほどかかり、川床から卵へと
40~50回、繰り返し手を動かすこともあるという。
卵は枝にしっかりとくっつき、人間が手で取ろうとしても簡単には剥がれない。
クンバラナイトフロッグが川面の上に卵を産み、それを泥で覆うのは、淡水カニ
など、カエルを含めたあらゆるものを食べる水生捕食者から卵を守るためだと
研究チームは考えている。
また、泥をかけるのは、卵を乾燥から防ぐためかもしれない。
卵からは一週間ほどでオタマジャクシが孵り、下の川面に落ちる。
クンバラ・ナイトフロッグは、両生綱無尾(カエル)目アカガエル科Nyctibatrachus
属に分類されます。
同属は、アカガエル科の中でも原始的なグループです。
卵を泥で覆うという生態は面白いです (゚∀゚)
しかし、西ガーツ山脈では両生類の新種がバンバン見つかってますね
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