↓ AFP(2014.1.10) より
オーストラリア南部およびニュージーランド沖の海域に生息する、先史時代から
生きる魚「ゾウギンザメ」(学名:Callorhinchus milii)は、DNAが何億年もほとんど
変化していない「生きた化石」シーラカンスよりも進化速度がさらに遅いとする
研究報告が8日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。
↓ Wikipedia より 画像は全てCallorhinchus milii
米ワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)などの
研究チームが発表した論文によると、ゾウギンザメのゲノム(全遺伝情報)は
「シーラカンスを含む他の脊椎動物よりも著しく遅い速度で進化している」という。
ゾウギンザメは、この俗名の由来であるゾウの鼻のように突き出た頭部の突起
で、水深約200メートルの海底をかき回して餌となる甲殻類を探す。
厳密にはサメではなく、ギンザメ科の一種だ。
約4億5000万年前に硬骨の脊椎動物から分化した軟骨魚類のサメやエイ、ガンギ
エイなどから、さらに約4億2000万年前に分化した小分類群だ。
↓ FISH INDEX より
今回の研究では、ゾウギンザメのゲノムとヒトや他の脊椎動物のゲノムとの比較
を行い、ゾウギンザメの遺伝情報量は極めて少なく、ヒトの3分の1にも満たない
ことが明らかになった。
またゾウギンザメのゲノムの進化速度は、シーラカンスのゲノムより遅いことも
分かった。
南アフリカ沖で発見された希少種魚のシーラカンスは、生態的地位の獲得に非常
に成功し、4億年近くにわたってほとんど変化していない。
ワシントン大医学部のウェズレイ・ウォーレン(Wesley Warren)准教授(遺伝学)は
「われわれは今回の研究で、ヒトを含む硬骨脊椎動物の進化と多様性を理解する
ために極めて重要とみなされている分化した種の遺伝的青写真を手に入れた」と
語る。
↓ 不詳
ゾウギンザメのゲノムにより、骨の形成過程に関する洞察が得られる可能性が
あり、骨粗しょう症の治療に役立つかもしれない。
またゾウギンザメの免疫系には、さらに大きな秘密が潜んでいるかもしれない。
ゾウギンザメの防御機構は原始的だとみなされており、ヒトにみられるように
ウイルスや細菌の感染に対抗する免疫細胞は存在しないとされる。
それにもかかわらず、ゾウギンザメの免疫系は明らかに強力で、ゾウギンザメの
長寿を可能にしている。
ゾウギンザメ・・・軟骨魚綱ギンザメ目ゾウギンザメ科ゾウギンザメ属(1属3種)
(吻の形状から、ギンザメ科に含むのはちょっと無理が有るかと)
オーストラリアン・ゴースト・シャーク(Australian ghost shark:
Callorhinchus milii)、エレファント・フィッシュ(Elephant fish;
Callorhinchus callorynchus)、ケープ・エレファント・フィッシュ
(Cape elephantfish;Callorhinchus capensis)の3種。
全長:60~120㎝、体重:最大4㎏
全て南半球の浅瀬から水深200mの冷水域に分布。
カギ状の吻が特徴で、底生の貝や小魚を捕食するのに適応した
ものと考えられます。
卵生。
↓ FISH OF AUSTRALIA より(以下3点)
↓ ゾウギンザメの卵
↓ 幼魚
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