↓ AFP(2013.8.23) より
南米ペルーで、スペイン征服以前の時代のみこ(女性祭司)の墓が新たに発見
された。
考古学者らによると、過去20年以上で8回目となる今回の発見は、権力を持った
女性たちが1200年前にこの地を支配していたことを裏付けるものだという。
モチカ(Mochica)とも呼ばれるモチェ(Moche)文化時代のこの女性の遺骨は7月
下旬、ペルー北部のラリベルタ(La Libertad)と呼ばれる地域で発見された。
この地域では、今回の発見を含めて、科学者を驚かせるような発見がいくつか
なされている。
2006年には、約1700年前に亡くなった、ペルーの最初の女性統治者の1人とみら
れている有名な「レディー・オブ・カオ(Lady of Cao)」を研究者らが偶然発見した。
プロジェクトを率いるルイス・ハイメ・カスティーリョ(Luis Jaime Castillo)氏は
「女性たちは、この地域で儀式を行っていただけでなく、この地を支配し、モチカ
社会の女帝として君臨していたことがこの発見で明らかになった」とAFPに語る。
カスティーリョ氏は「みこの発見は、今回で8回目になる」と付け加えた。
「われわれの発掘で発見された墓は女性のものばかりだ。男性のものは1つも
ない」
みこの遺体は「1200年前の見事な埋葬室」の中にあったと同氏は述べ、モチカ人
は優れた職人だったことが知られていると指摘した。
「みこの埋葬室はL字型で、粘土で作られ、波や海鳥の形をした銅板で覆われて
いる」
また、首の近くには仮面とナイフがあったと同氏は付け加えた。
赤と黄色で描かれた絵で装飾が施された墓には、遺骨の傍らに約25センチほど
土に埋もれた陶器のささげ物(大半は小型のつぼ)があった。
↓ 埋葬室に描かれたフレスコ画
↓ 埋葬室で見つかった陶器
↓ ナショナルジオグラフィック公式日本語サイト より
ワカ・バンデラ(Huaca Bandera)の発掘現場で発見された陶製の壺。
モチェ文化後期に属し、左手に子どもを抱いた女性が象られている。
カスティーリョ氏は「みこと共に埋葬されていたのは、いけにえとしてささげられた
子供5人と大人2人の遺体で、子供のうちの2人は乳児だった」と述べ、ひつぎの上
に羽毛が2枚置かれていたと話した。
埋葬室の発掘作業に参加した考古学者のフリオ・サルダナ(Julio Saldana)氏に
よると、今回の墓の発見は、サン・ホセ・デ・モロの村がモチカ文化の権力者たち
の墓地だったことを裏付けるもので、最も印象的な墓は女性たちのものだと述べ
ている。
モチェ文化は、インカ文明に先行する(プレ・インカ)文化の一つで、紀元前100年
から紀元800年頃に現在のペルー北岸で繁栄しました。
その名は、ペルーのモチェ川に由来します。
既に運河が建設されており、貯水槽も造られ、灌漑農業が行われていました。
日干しレンガの様なアドベで、「太陽のワカ」「月のワカ」と呼ばれる神殿ピラミッド
が建設されました。
ほぼ同時期にペルー南部ではナスカ文化が、現在のボリビア付近ではティワナク
文化が栄えていました。
モチェ文化衰退後は、ランバイエケ(シカン)文化が興ります。
また、モチェ文化後期とワリ文化の時期が重なる為、両者には何らかの関わりが
有ったと考えられています(以前はワリ文化が侵入した説が有力でした)。
意外と女系社会も生まれていたんですね~ (´∀`)
参考記事:「ワリ文化の霊廟と財宝を発見―ペルー その1:遺跡 」
「ワリ文化の霊廟と財宝を発見―ペルー その2:女王と生贄 」
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