↓ Yahoo!ニュース(2013.3.19) より
米国で13年と17年ごとに大量発生する周期ゼミは、氷河期にその発生周期を
得たとみられることがDNAの解析で裏付けられたと、京都大の研究グループ
が18日、発表した。
米国科学アカデミー紀要(電子版)で近く発表する。
↓ Wikipedia より 17年ゼミの1種
13と17という素数(1とその数字だけでしか割れない)が発生周期のため、「素数
ゼミ」とも呼ばれている。
京大の曽田貞滋(そたていじ)教授(生態学)らのグループは、78~08年に収集
された数百体の周期ゼミ標本からDNAを採取、突然変異の痕跡を追跡すること
で、遺伝的な系統図を作成した。
その結果、周期ゼミの祖先は同一で、氷河期(約7万年前~約1万年前)の後期
(約2万6500年前以降)に、13年と17年のグループに分かれたことが判明したと
いう。
周期ゼミを巡っては、研究の第一人者、吉村仁(じん)・静岡大教授(数理生態学)
が、北米大陸の氷河期に幼虫の期間が長い種が現れたなどとする論文を発表
している。
周期ゼミは、昆虫綱半翅(カメムシ)目セミ科Magicicada属に分類される、いわ
ゆる13年ゼミ(4種)、17年ゼミ(3種)の総称です。
別名:素数ゼミ
これは、成虫になり、大量発生する周期が素数(1とその数自身でしか割り切れ
ない数)である事に由来します。
北アメリカ大陸東部の、特に17年ゼミは北部、13年ゼミは南部に生息。
↓ BugGuide より 17年ゼミの羽化
↓ Cicada Mania より 13年ゼミの1種
↓ Beetles in the Bush より 13年ゼミの幼虫
吉村仁氏の説では、先ず氷河期という低温の環境で、成長速度が遅くなり、成虫
となるまでに10年以上掛けるようになりました。
また、個体数が減っていたので、交尾相手を確保する為に、繁殖時期を合わせ、
同時に大量発生するようになったのです。
ポイントは、「大量発生する事」です。
周期ゼミが生まれた頃(つまり氷河期)には、12年ゼミや18年ゼミなどもいました。
ある数の成虫に対して、生まれる子孫の数はある程度決まっています。
例えば、17年ゼミ同士から1,000匹生まれるとします。
しかし、15年ゼミと17年ゼミが交雑すると、単純な確率で15年ゼミが250匹、17年
ゼミが250匹、交雑ゼミが500匹生まれる事になります。
個体数が減ると、捕食者などに淘汰されたり、交尾相手が見つかり難くなり、都合
が悪い。
また、交雑ゼミの周期が17年や15年から外れる(羽化した時に仲間が少ない)、
という問題も起こります。
出来るだけ交雑は避けたいのです。
そして、他の周期と出会い難いのが素数の周期なのです。
15年ゼミと18年ゼミは90年毎に出会いますが、15年ゼミと17年ゼミが出会うのは
255年毎です。
ちなみに現生種の13年ゼミと17年ゼミが出会うのは、221年に1度です。
こうして他の周期と交雑し易い種は消えていき、素数ゼミだけが生き残ったという
のが一つの説です。
既に、12~18年ゼミの化石が発見されていますが、12年ゼミなどは最初に淘汰
されたでしょうね・・・(;´Д`)
但し、実際には13年ゼミが13年に1度しか見られないかというと、そうではなく、
いくつかのグループが有って、周期をずらして大発生します。
エサや場所、天敵や気候や疫病などとのバランスも有るのでしょう。
素数や最小公倍数なんて、日常生活ではまあ意識する事すら無い(素数を数え
て落ち着く事も無い)ですが、自然の理としてはたらいているんですね~・・・
ヽ(゚◇゚ )ノ
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