令和4年予備試験お疲れさまでした

令和4年7月10日は参議院選挙があり、候補者は熱い選挙戦を戦っていたようですが、我々は熱い論文式試験を戦いました。

 

感想として、「楽しかった」です。

私の場合、周りの予備試験の受験生がおらず、模試も自宅受験なので、会場でみんなで集まり、答案を作成するという機会がありませんでした。そのため、あのような中で、答案を作成することは、緊張する面もありますが、基本的に「楽しい」という側面のほうが強かったです。

 

できた科目があった反面、できなかった科目もあります。

自分の準備が手薄なところからの出題がされた科目もありました。

ただ、この短答後から、論文式試験に向けての学習は、必ず次に「役に立つ」と考えています。

 

さて、簡単の令和4年の予備試験の実況中継です。

問題のネタバレなども含みますので、ご注意ください。

 

 

  起床から会場まで

 

短答式試験のときは、ほとんど眠れなかったが、論文式試験の前日はとてもよく眠れた。

体調などもかなり万全。いつもどおり、ホテルからタクシーで会場に向かう。

 

会場には受験生らしき人が多数。

去年も受験していた人(人相や風体は記憶している)もおり、今年も短答合格し、皆実力者ばかりと、改めて気を引き締める。

 

 

  公法系

憲法と行政法の問題を見ると、憲法が28条の労働権の話、行政法は無効等確認の訴えの話。私は行政法のほうが得意であり、行政法のほうが答案の解答筋が見えやすかったので、行政法から先に解答

 

【行政法】

  • 無効等確認の訴えを提起した理由は、出訴期間が理由。最初は、緊張していたのか行訴法14条1項を書いてしまう。いやいや、そもそも処分から1年が経過しているので、行訴法14条2項を書く。
  • 無効等確認の訴えは、行訴法36条の「法律上の利益を有する者」を解釈
  • 原告適格を論じなさいとしているので、「当該処分の~目的を達することができないもの」については、より直截的で適切な訴訟形態とつなげる。ここまで論じる必要があるかは?
  • 次に設問2は、無効等確認の無効とは、重大かつ明白な瑕疵と規範を立てて論じる。
  • 手続上の違法として、本件条例21条の瑕疵を検討するのは容易だし、気づきやすい。しかし、問題文にある「本件処分の内容の明確性」をどう論じるのかは頭を悩ませた。おそらく、実体法上の違法の枠組みで論じるのだろうが、行政裁量を使うのか疑問を感じながら、答案を作成。
  • 問題文中にも、盛土部分にも本件処分の効力が及ぶのかという事情にかなり触れているので、問題文の事情から上記「本件処分の内容の明確性」を論じたほうがいいと思う。ただし、時間との関係で、うまくまとめきれなかった。
【憲法】
  • 労働権かよ・・・。労働法選択者有利じゃないかとファーストインプレッション。
  • 憲法の中でも労働権は、手薄になっていたので、原則どおり、保障→制約→正当化の枠の中で論じる。ちなみに、㋐争議行為の禁止、㋑争議行為のあおり、そそのかしで分けて論じる。
  • ㋐では、問題文中にある①~③の事情を用い、㋑では④の事情を用いた。
  • 設問中では判例に触れつつとあるが、労働権の判例は結論は覚えているが、その具体的な規範などはわからないため、とりわけ判例を意識した論述ができたわけではない。
  • ちなみに、㋐及び㋑はともに、違憲とした。

 

  刑事系

去年の本試験から評価が悪く、模試でも評価が伸び悩んでいる科目。ただ、科目自体が嫌いなわけではない。問題を見た瞬間、刑法が新傾向のような感じがした。一方、刑訴法は事前準備が十分だった捜索差押の問題であったので、刑訴法から解答を行う。

 

【刑訴法】

  • 設問の捜査①については、「甲の承諾を得ることなく、キャリーケースのチャックを開けたこと」、「キャリーケースの捜索(物の捜索)」について論じる。
  • 「甲の承諾を得ることなく、キャリーケースのチャックを開けたこと」については、「必要な処分」(刑訴法222条、111条1項)の規範で論じる。これは、伊藤塾の答練などで何度も練習したので、結構かけたと思う。
  • また、「キャリーケースの捜索(物の捜索)」については、「場所」に対する令状で「物」の捜索ができるかという規範で論じる。証拠隠匿の蓋然性が高いという規範を立てて、捜査①は適法と論じる。
  • 捜査②については、「乙を羽交い締めにした」、「乙のボストンバックを取り上げて捜索」に分けて論じる。
  • 「乙を羽交い締めにした」は、前述の「必要な処分」で論じる。「乙のボストンバックを取り上げて捜索」については、そもそも乙は、捜索開始時点において、A宅にいないことから、当該行為が適法かという視点で論じる。いわゆる、宅配便に令状の効力が及ぶのかという視点で検討をした。
  • ちなみに、捜査②も適法と結論を出す。
【刑法】
  • 刑法は新傾向か・・・?
  • 万引き家族の問題。設問1でXとYが出てくる。当初、このXとYを取り違えて答案を作成して焦る。
  • Yに対してぶどうを取ってくるように指示した行為・・・窃盗未遂罪の共謀共同正犯で論じる。当初は間接正犯も検討したほうがよいとよぎったが、問題の序盤でたくさん紙面を使うのははばかられたので、窃盗未遂罪の共謀共同正犯のみで論じる。ちなみに、本犯者の窃盗の「実行の着手」が認められないと、窃盗未遂罪の共謀共同正犯は否定する方向で論じる。
  • ステーキ用の牛肉2パックを取ってくるように指示した行為・・・窃盗既遂罪の共謀共同正犯で論じる。このとき、牛肉を5パック持ってきた行為と写真集を窃取した行為をどう扱うかを悩んでしまう。これは故意の問題なのか、共謀の射程で論じるのか・・・?
  • とりあえず、故意責任から論じて、構成要件として同一なら故意を阻却しないと、法定的符合説ぽい論証をして、両方とも共謀を認める(多分間違っている。)
  • 設問2は、事後強盗罪の問題。①甲は窃盗犯人ではない、②窃盗の機会の継続中の暴行ではない、③「押した」行為は、犯行を抑圧するに足りる程度の「暴行」ではないと3つにわけて論じる。それぞれ、事後強盗罪の成立を否定する方向で論述を進める。
  • 設問1は自信はないが、設問2は苦手科目ながら、書けたと思う。
 

  選択科目・・・環境法

環境法は、行政実務でやっているので、とても得意なイメージで本試験を迎えた。そのため、本試験の直前でも環境法にはあまりウェートを割かなかった。司法試験の出題傾向から、廃棄物処理法と環境法総論のテーマをからめた問題(予防原則や未然防止原則)や、水質汚濁防止法と土壌汚染対策法との融合問題が出るのではないかと考えていた。

 

  • 上記の読みの中で、試験問題集を開いたときに絶句・・・。
  • 景観とか眺望とか、環境法の中でまったく対策をしていない。
  • いろいろと考えた末、行政法的な考え方で問題を解く。
  • 設問1は景観利益に基づく損害賠償請求は認められるかと検討。
  • 「法律上保護された利益」(民法709条)に景観利益が含まれているかの枠組みで論じる。問題文中の事情から逆算して自分なりに規範を立てて、論じる。ただ、この方法は去年の民法でやってかなり低い評価だったので、あーーー環境法で失敗か・・・と考えながら、答案を作成。いやいや最後まで諦めないとブログに書いたので書けないながらも踏ん張る。
  • また、設問2については、本件事業の差し止めが認められるかという視点で論じる。これまた、問題文中の事情から逆算して規範を立てて論じる。全体的に知識不足の点が多数あるため、相対的にちゃんと書けている受験生とくらべて沈んでしまうわと意気消沈。
  • 試験終了後、アガルートの論証集を見ると、眺望権、景観権の定義が載っていることに気づく。おそらく、眺望権とは、一般に私人が特定の場所で良好な眺望を享受しうる権利。景観権とは一般に自然の景観や歴史的文化的景観を享受する権利と定義を立てて、論じることが求められている。
  • また、国立マンション訴訟の判断枠組みを利用して、問題を解いてほしいことがわかる。しかしながら、試験時間中には、それらの判例や定義などは全く想起できなかった。
  • 環境法は得意科目だという感覚があったので、全範囲をぐるぐる回していなかったことが敗因。ただし、現場思考で問題を解いたことはよかったと思う。
とりあえず、このような感じで1日目を終えました。
試験を無事受け終えたことに感謝して帰路につく。