一番人気の人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」は、全10段で構成されていますが、第8段「順礼歌の段」が定期公演されています。
徳島の御家騒動に絡んで盗まれた主君の名刀を詮議するために、阿波の十郎兵衛、妻のお弓は、姓を変え盗賊に身をやつして、大坂玉造に住んでいます。そこへ、巡礼姿の娘お鶴が、はるばる鳴門から父母を訪ねて来ます。
我が子とはわかるものの、此処で名乗りを上げれば、お鶴にどのような禍が降りかかるかも知れない。涙を呑んで、別れるお弓。しかし、お鶴の歌う巡礼歌に、お弓はたまらず、後を追ってしまいます。
押さえられない母の情けが切ない下りです。
「板東十郎兵衛屋敷」の「鶴亀の池泉式庭園」です。雌雄2匹の鶴と亀が見立てられた、美しい庭園です。
さて、上演が始まります。
舞台も立派です。
お弓が一人でいるところに、巡礼姿の少女が一人やってきます。
言葉を交わすうちに、我が娘のお鶴だとわかります。
しかし、名乗る訳には、いかず・・・・・・。
一旦は、別れますが。後を追ってしまいます。
一方で、お弓と別れたお鶴は、偶然に、十郎兵衛と出逢います。金に困っていた十郎兵衛は、我が子とは知らず、お鶴を殺害してしまいます。
お鶴は、国次の名刀を盗んだ真犯人を知らせる、祖母の手紙を持っていました。手紙を読んだ十郎兵衛夫妻は、急遽、徳島へ。無事に、主君の名刀を取り戻すことが出来ました。
上演された皆様。僅か3人の観客に、ありがとうございました。
(青竹:NO.3183)