【第2章】のハイライトは、「国宝・板彫十二神将像」全12体の一斉展示です。



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板彫十二神将像」は、11世紀の制作と伝わります。高さは1m前後ありますが、厚さは僅か3cmほどの檜材の板から、様々な表情が活き活きと奥深く刻まれていて、我が国レリーフの最高傑作と言われています。当に超技巧的なレリーフです。


12体の一斉展示は、史上初です。


東金堂の本尊・薬師如来像が座する台座の四方を守護しています(=台座の腰に張り付けられた可能性が強い=)が、この展示でも、3体ずつ四方向きに展示されています。もとは彩色が施されていたようで、今も僅かに絵の具の跡が見られます。


日本に「国宝の十二神将像」は、4組あるのみです。今回の展覧会出品の「2組」。太秦の広隆寺にある木造の立像1組。そして奈良の新薬師寺の塑像(ただ、国宝指定は、11体。)。この4組です。






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【第3章】は、この展覧会のハイライトです。


仏頭そして「国宝・木造十二神将立像」全12体が、勢揃いです。約600年振りに再会出来た仏頭と神将像が、感動の対面をし、最奥に鎮座する仏頭を守護するかのように、12の神将像たちが居並びます。


少なくとも東京では二度と見られない素晴らしい光景と言えます。




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「十二神将」は、薬師如来を守護する12体の天部の神々です。それぞれが7000の兵を率い、師団長的立場に立つ神像で、甲冑姿に憤怒の形相が一般的です。頭部に十二支の動物を付けているのも、特徴的です。


像は、寄せ木造り、彫る眼。表面は彩色仕上げです。制作した仏師は、定慶など慶派と言われています。



最後の【第4章】は、調布・深大寺の「銅像釈迦如来倚像(いぞう)」が、特別出展されています。




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深大寺は、天平5年(733)創建と言われる古刹です。満功上人の創建。当時は法相宗(平安時代に天台宗に改宗。)でした。


この「銅造釈迦如来倚像」は、全高83.9cm。仏頭と同じく、銅像の美しい白鳳仏で、仏頭のありし日の姿を想像するに最適と言われます。関東における白鳳時代の貴重な金銅仏です。


右手は、施無畏印。左手は、膝上に掌を仰向けに置き、膝を大きく開いて、方形の台座上に倚座(=いざ。座具に腰掛けて両足を垂下する姿勢=)しています。


納衣で左肩を覆って、右肩に掛け、右臂から右肘を覆う、特徴的な着方ですが、5世紀頃の中国で流行した着方でした。


頬が丸く張り、眉が弧を描いて、鼻梁に通じています。若々しい面相は、天武天皇供養の新薬師寺の銅造薬師如来立像(香薬師)にそっくりだと言われています。


「仏頭」が、遠くを見る眼差しであるに比し、この像は、近くの来訪者を見ているように感じます。比較しつつ、仏頭の身体部は如何にあったのかを、つい想像したくもなります。