四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-1


鬼平犯科帖、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安の「3大シリーズ」で有名な池波正太郎の回顧展が、松屋銀座8階イベントスクエアで9月9日まで、開催されています。




四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-2


池波正太郎は、大正12年に浅草で生まれました。昭和4年に父親の勤務先が倒産し、両親が離婚。母親の実家に引き取られました。


祖父や長谷川 伸に師事していた叔父の影響で、文学や芸術に親しむ少年に成長しました。


小学校を卒業し、12歳で株式仲買の世界へ。相場を覚え、早くから大人の世界へ入り洋画や芝居見物、小旅行をして青春を謳歌しました。


19歳頃から、雑誌に原稿を投稿し才能を発揮。24歳で東京都の正職員となり、27歳で結婚。税務事務所などに勤務するも、32歳で目黒税務事務所を最後に退職し、執筆活動に専念することとしました。


37歳、「錯乱」で直木賞を受賞。45歳で「鬼平シリーズ」をスタートさせます。



【鬼平犯科帳】


若い頃には、本所や深川で無頼や小悪党と交わり、「本所のテツ」と恐れられる存在であった。家督相続をするやいなや、人が変わったように役目に取り組み、過去の負い目を引きずりつつ、火付け盗賊改め方長官として、リーダーシップを発揮して悪と対峙する。主人公が温かく大きな度量を持ちつつ、強い信頼感で難問を解決していく。平成2年に著者が病に倒れるまで、23年間全135編の文字通り、池波のライフワーク。





四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-3



【剣客商売】


何事も、白か黒か決め付けるより、融通あるを好んだ。江戸の四季の移り変わりの中で、人々の哀歓や喜び、その営みを、情緒たっぷりに描いた作品。昭和47年から平成元年7月までの17年間。全87作。



【仕掛人・藤枝梅安】


「人間は、善事を行いつつ、知らぬ間に悪事もなし、悪事を働きつつ善事を楽しむ」という池波文学の底辺を流れる思想そのものの作品群です。


品川台町で、名医で名高い鍼医者を営みつつ、裏では殺し屋も。殺す手法も、血を流さず、一瞬のうちに針で刺殺。


「金を貰って人を殺す」という仕掛人に、読者を共感させる難しさの克服がポイントだったと。人気シリーズのうちでは、作品数は少ない。昭和47年3月から平成2年6月までに、20作品。





四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-4


【真田太平記】



直木賞受賞の「錯乱」を始め、多くの真田ものを書いていますが、昭和49年1月から週間朝日に連載した、真田もの、忍者ものの総決算といえる作品。昭和57年12月までの9年間に全449回。



【雲霧仁左衛門】


享保年間、吉宗の御世。謎に包まれた伝統的大盗賊・雲霧仁左衛門が主人公。盗賊の中でも、一流中の一流の盗賊。一味を追うのは、火付け盗賊改め方長官・安倍式部と、その部下達。昭和47年8月から昭和49年4月まで、週間新潮に連載。




【書斎】




四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-5書斎


書斎の復元展示もあります。


品川区荏原の池波邸2階の約10畳程の洋間。和室だと、直ぐ寝転んでしまうそうです。書庫は3階に1万冊以上を収納していたそうです。


時代小説は、資料が必要なので、ホテルでの執筆は、余りしなかったとか。原稿の書き上げが遅れることは、まずなかったとのこと。


絵を描く趣味があったので、机の先には「絵の道具入れ」も。



【自筆原稿】



四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-6自筆原稿


TV撮影のセットや衣装の展示もありました。


梅安の仕掛け針セット、軍鶏鍋屋「五鉄」のセット、おまさの行商道具、鬼平の陣笠、拝刀、印籠、扇子、そして亡父愛用の携帯用煙管道具。また、盗賊道具。


あるいは、池波愛用の小物。絵の具セット(=山の上ホテルに預けたままの)・・・・・・



【自筆の絵画】



四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-7自筆絵画


●常設の記念文庫も、合羽橋にあります。




四季が美しく情緒豊かな日本の歴史と旅を探訪する瓦版-8記念館