●「アルテミス、通称:”ギャビーのディアナ”」
14~37年頃
信奉者たちから贈られたマントを留める狩りの女神です。ふと首を傾げて、優雅な手付きでマントを羽織ろうとする女神。自然な佇まい、美しい曲線は、大理石とは思えない柔らかな感触を漂わせています。
衣の襞やサンダルを履く活動的な姿。清楚な容貌は、うっとりとさせられます。等身大(高さ165cm)の像です。
18世紀、スコットランドの画家ハミルトンが、ローマ近郊のギャビーで発掘しました。紀元前4世紀の名高い彫刻家プラクシテレスの様式を汲む作品の模刻です。ルーブルの傑作の一つで、館外での公開は、今回が初めてです。
●「ハイディ」
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー。1870~72年頃。
楽器を手に浜辺に腰を掛けているのは、英国の詩人バイロン卿による「ドン・ジュアン」の登場人物の一人、ギリシャの海賊の娘ハイディです。コローは、イタリアに魅せられた画家の一人で、3度もイタリアを訪問し、各地をスケッチしながら歩きました。
背景に地中海の風景が見えます。スケッチの成果でしょう。
●「バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性たち」
19世紀。テオドール・シャセリオー。
1846年フランス占領下のアルジェにパリから旅した画家のテオドール・シャセリオーは、「千夜一夜物語」に登場するような民族衣装を着た2人の女性たちが、町を見下ろすバルコニーでおしゃべりする後姿を描きました。
シャセリオーは、フランス・ロマン主義のオリエンタリズムを代表する画家ですが、アルジェリアやモロッコを旅し、こうしたエキゾチックな風景画や人物画を多く描きました。
●「薄布を持っての踊り」
テオドール・シャセリオー。1849年
薄布を手に踊るモロッコ娘が、活き活きと描かれています。この頃、ナポレオンのエジプト遠征を機に、オリエンタリズムに関心が強まっていました。
1793年、フランスはエジプトに敗北しますが、ナポレオンは167名もの画家や学者をエジプト遠征に同行しエジプトを調査し、「エジプト誌」を作成し、「エジプト紀行(上下)」も刊行しました。その後、エジプトへの欧州人の旅行も増え、1846年には、ドラクロアやシャセリオも、北エジプトへ旅します。
18世紀末になると、オスマン帝国の衰えに乗じて、英仏両国が、地中海周辺に領土獲得を始めます。文化的にも、外交の場での贈答品や民俗学的な記念品が美術コレクションに加わっていきました。



