いわゆる声優陣がほぼ交代完了した作品で。
んー、なんというか。
ストーリーが終わって、どうにもスッキリしない。
いやまあ、言いたい事は多方面からの要因でいろいろありすぎて、自分でも良くまとまらないのが正直なところで、表現出来る言葉としてスッキリしない。
なんだろう、これ。
まず、いわゆる絵柄が大幅に変わったことに対する違和感。
まったくないわけではなく、それでもまあ、キャラクターの雰囲気に引っ張られているため、見た目の違和感ほどの落差は無く。
ルパンとキャッツ・アイ双方ともに、お互いの雰囲気はいい感じに混ざり合っているので、むしろ受け入れられる。
で、声の方も、それぞれに今までのキャラクター性をきっちり継承されているため、タイトルがもつイメージを崩していないあたりはやはりさすがのベテラン勢。
声優の交代劇に、ルパン側はルパンがきっちり牽引できているなかでの一味としての絡みが少ない不二子や銭形も交代してから印象を引っ張れる方々。
ただ、今回の作品として気になるのは、ルパンのすっとぼけぶりが大分足りない。
いわゆるマジメモードが最初からスイッチが入っているような印象なので、クライマックスでのシリアスさが薄れてしまう。
・・・あ、違和感はこれだw
「真実」を持っているルパンが、それを隠して展開していくストーリーは、お調子者とシリアスモードのギャップこそがルパンらしさといいましょうか。
今回はキャッツ・アイの愛を相手に、いわゆる「カリオストロ」の時のクラリスの時のようなすっとぼけ具合がインパクトになってこない。
だから、ストーリーが終わってスッキリしないのだ。
なんといいましょうか。
今回、作画側が変わった事で、特に銭形。
セリフと表情が上手くマッチしていない。
声に力が入っているのに、表情でその感情ほどの力が入っていない、うまく溶け合っていない感が随所にあって、これも後々まで残ってしまうから、感動に足りなくなる。
銭形がルパンを追いかけるシーンは、「ドタドタ」と走る印象に、そういう走り方なのに、きっちり追走している感といいましょうか。
感じ方の「なにか」が違うのです。
ぶっちゃけ、作品の雰囲気が声優陣に引っ張られているから「ルパン」になっているといった、ちょっと評価ギリギリの危ういところに留まっているといったような。
そういった意味では、キャッツ・アイのほうも似たような感じで。
瞳と愛の中の人がTVアニメからの継承で、泪姉さんは新しい人。
TVアニメ泪姉さんの中の人事情に、変わるのは仕方ないとして、これも「シティーハンター」コラボからも変わっているので。
ただ、やはり今回はルパンと行動を共にする事になる事情も含めて、三姉妹の中で愛がメインになるのかな。
さて、キャッツ・アイのバックボーンとして、まずは泥棒稼業ってのは基本情報の上で、この内情を知っていないと・・・というか、知っている事が前提の構成になっているため、ここでストーリーの理解度が人によっての差が生まれてしまう。
もともと美術品専門泥棒は、突き詰めると「お父さんが描いた絵画」を集め回っていたわけです。
さらにつきつめると、なんでそれを集める理由とかもあるんですけど、まあ、だから、今回もキャッツ・アイが狙う三枚の絵はそう言うことです。
三枚の絵。
それぞれが泪、瞳、愛となるワケですが、そもそもに描けた時期に愛の両親事情があって、だからこそ、自分を描いているはずの三枚目に対する愛の思い入れもナルホドになってきます。
その上で、その三枚目、愛の絵は・・・というオチは意外性を含んで面白いことになっています。笑える方の面白いでは無く、興味深いオチになっています。
ネタバレになるから明記しないけど。
(`ー´〃)
最終的に絵を「盗み出した」事に成功しているのは「ルパン」の方で、それが求めていた三姉妹に届くというオチは、まあ、この場合は盗むというより、手に入れるという流れがルパンの王道でもあるので、泥棒合戦はやっぱりルパンが一枚上手ということになる。
ここらへんのさりげなさが読めるからこそ、前~中盤のコミカルなルパンが際立たないとよけいギャップ差の小ささにスッキリしなくなる要素にもなったかな、と思う所。
いやー、ほんとにね、本当の目的といった本音をすっとぼけていることも、それこそ次元が「まーた何か隠してるな?」と言う前に視聴者は察しているから、ここはコミカルに誤魔化してくれないと、ダメなんだよぉ。という個人的な願望w
そんな王道な展開の中でも、やはり評価するべきは、ルパン一味の連携ですね。
これまた別行動でお互いの行動を予測して、ドンピシャに合流する阿吽の呼吸はルパンならでは。
一方で、キャッツ・アイは三姉妹といえどここまでの意思疎通が出来ない。
無線を使って位置を確認していたり、会話しながら離れた状況を知る手段に、「ルパン一味」とは違う差別化がされているのはさすがです。
お互いの作風がうまく混ざり合ってひとつになっている事がコラボで互いを使う意味もあるというもので。
「ルパン三世vsキャッツ・アイ」と、タイトルはルパン先行に、メインはルパンでありながら、ちゃんとキャッツ・アイにもなっているのが嬉しい所。
意外な事は、斬鉄剣が刃こぼれを起こし、折れてしまう事態に、「え?」となるのは、斬っていたのはいつも通りのモノなのにどうした斬鉄剣!?
お手入れを怠ったのだろうか(マテw)
あ、一応、弾は「斬って」いるのとも違うので、「弾く」ことが斬鉄剣のダメージになったか?なんて思ったりもするへ理屈。
斬っていたのであれば、そもそも刃に当てて斬れちゃうはずなのでw
そして銭形と俊クンである。あれ?漢字合ってる?「トシ」ってこうだよね?(ぉぃ)
俊夫であだ名が「トシ」。
瞳の幼馴染みで刑事。「シティーハンター」では出番が無かったため、これまたキャッツ・アイ担当刑事程度にしか思われない前情報のなさw
婚約はしたけど結婚は・・・あれ?どうなったっけ?
などと、本気で設定をど忘れもする存在が、銭形と一緒に行動することで、個性を奪われているところがある。
ちょっと頼りない通常モードだけで、俊夫も本気で怒らせたりするとスゲーんだぜ、まじで。
と、活躍の場が無いのは残念。
ちなみに、「この世界」では知らんけど、ルパン専任としての銭形が持つ特権ってのは実はとんでもなく凄くて、俊夫がフランスまで同行できているのは、このおかげ。
ルパン捜査の名目に、必要な相方同行も許されてしまうため、警視庁だろうと止める事は出来ない設定がある。
なので、事件解決後にTVに出ても、それ以前に出張として把握されているから問題なしになる。ただし、だから、「まだいたの」と言われる日本への帰国が遅れているのも、単独で帰ってこられないからw
んー、まぁ、とにかく、「ひとつのタイトル」で2つのタイトルをそれぞれに語る事が出来るほどの両立は成立しています。
そのぶん、ひとつのタイトルとして語ろうとすると、そのシワ寄せということにしておこう(笑)で、しっくり来ない部分も印象に残ってしまう。
でもま、総合的な評価としては悪くない作品です。
ルパンとしてみても、キャッツ・アイとしても、ルパンvsキャッツ・アイとしても。
それぞれ三つの観点で見ることができる完成度にはなっているので、たぶん、お得(ナニがだw)
そんな仕上がりになってます。