どんなにがんばって忘れようとしても、クリスマスは誰にもやってきてしまう。

まるで竹内まりやの世界。

 

今年は23〜25までみっちり仕事が入っていた。シフトを見たとき「あぁよかった」と思ったのは何かこの現実を見たくなかったから。

毎日のように目からも耳からもクリスマスばかりが取り上げられてて、自分には全く関係ないのになぁ、とチャンネルを猛烈なスピードで変えていく日々が一週間ほど続いた。

 

キラキラした街のイルミネーションに幸せそうなカップル。

なんでここに自分はいないんだろう?なんてことを考えたこともあるっちゃある。

でも自分とは違うな、と勝手に判断してクリスマスを幸せに過ごすための努力を怠ってきてしまったのかもしれない。

それでもこうやって生きているんだから、それだけでもありがたいと思って過ごすべきだろうな。

 

そうやって我慢の日々を越えると、街中は一気にお正月になる。

なんて変わり身の早い国なんだ、といつも思う。

お前たち昨日までさんざんクリスマスって言ってたじゃないか。

 

まるで消耗品。

一回使ったら来年また買えばいいや、って感じ。

そうやって昨日の余韻にひたる間も無く、日本という国は来年になだれ込んでいく。

そうやってバレンタインとか、桜の季節を迎えて、またひとつ歳をとっていく。

 

もう32歳。誕生日を迎えて嬉しいことなんて何ひとつない。

ここ10年くらい、ただ一歳老けただけの記念日に成り下がっている。

 

病気をしてから彼女と別れて一生使わないと思っていた言葉のひとつが

「メリークリスマス」

もう一生一人で生きて行くと、今でも思っているし、こんなつらい思いなんかしたくない、とも思っている。

毎年クリスマスはちょっといいビールを買い込んで家でお気に入りの映画でも観て社会から断絶する日にする。

 

でも日付が変わるころにふと思う。

「あ、今日クリスマスだった」

 

やっぱり心の底から言ってみたい。一回でいいから。

世の中の幸せを少しでもいいから分けてもらえる人生を送ってみたい。

それは今の自分からしたら、とてもぼんやりしたものだけど。

 

幸せの中心にいるって、どんな気持ちなんだろうな。

 

世の中の人と同じようにクリスマスを過ごして

世の中の人と同じようにクリスマス楽しかったね、って言って

世の中の人と同じように初詣も一緒に行こうねって

 

言ってみたかったな。

なんちゃって。