退院が決まってから、テンションは急上昇を続けた。

我慢していた売店でも買い物も始めた。今まで親が財布に2千円くらいだけ入れといてくれたのだけど、たまにお茶を買うくらいでまったく売店に使ってなかったのだ。

 

財布を抱えて売店に入るとぶっきらぼうに「らっしゃいません」と聞こえた。

どういう意味だろう?と真剣に考えてしまったがまっすぐお菓子のコーナーに向かった。駄菓子バンザイ。

しかしこれを片っ端から購入するのはさすがに無理がある。よし気分だ気分。

結局自分はブラックサンダーと円板状のスナックが4枚入ったポテトフライというのだけ買って病室へ戻った。しめて80円ほど。なんということでしょう。

 

ベッドの上でポテトフライを開ける。お菓子独特の香りが一気に広がる。匂いが強い。やばい。部屋中に充満したら失礼だなと思い、すぐに一枚頬張った。うまい。

思わず目を閉じる。初めて小さい頃にこれを食べたときもこんな感動はしていなかったと思う。

あっというまに食べきってしまった。続いてブラックサンダー。思った以上に硬い。

あれ、これだけでよかったかもしれない。昼ごはんが入らず

「あれえ?手つけてないねぇ」と言われてしまった。ごめんなさい。お菓子だって言えませんでした。

 

その後退院までに梅味のプチや、ブラックサンダーとポテトフライのセットを購入しては一人ささやかな宴を繰り広げ続けた。

 

転院をして、2回採血をしたが、退院前にもするのかなと思っていたら、どうやら検査はしないらしい。まぁあれだけやったもんね。

 

一週間を切るとカウントダウンが始まる。朝起きて毎朝「プロフェッショナル・仕事の流儀」の音楽が流れる感じ。

 

しかし退院を一週間後に控えたところで事件が起きた。