思いがけないところで、彼女と親が会うことになってしまった。
なんでこんなところで…と思ったがもう仕方ない。流れだ流れ。
父親は遠慮してすぐに病室を出て行った。
そこからはたまに様子を見にくる程度。彼女と話をしたかったが、声がつらい。
眠ることしかできなかった。
ベッドサイドの点滴が落ちる様子が、命のカウントダウンに思えて仕方なかった。
この辺からしゃっくりが止まらなくなった。最初はちょっと出たなくらいだったが、父親が来たあたりからずっと出っぱなし。だんだんストレスになってきた。
病院から父親に説明があった。耳鼻科がここにないこと。
本人の体調次第ですぐに次の病院へ向かった方が良いこと。
他にもいろいろ話していたけど、要約するとこんな感じ。
でも今日は無理。もう1日様子を見ることになった。
入院2日目。やっと起き上がれるようになった。しかし頭がぼーっとしていて
意識も朦朧としている。目を開けているのもつらい。
ベッドの上でとりあえず起きてみたら、ドン、っと右側に勢い良く体が倒れた。
そのままベッドの柵に激突。自分は倒れた感覚はなかった。
吸い込まれるようだった。結構な音がしたので、自分でもびっくりした。
院長の回診とかいうのが来た。
「どう?」
「いやべつに…」
院長らしき人物が担当の医師と話をしている。医師は救急の時から同じだ。
「なに?めまい?メニエール?」
「さぁ…わかんないっす」
首を傾げて医師は答えた。
は?なんだよそのわかんないっすって。
怒りがこみ上げてきた。でも今はどうにもならない。自分の負け。
彼女が今日は出勤するという。昨日看病で休ませてしまっていた。
嘔吐で汚れてしまったズボンを洗ってきてくれた。半乾き。ありがとう。
早い時間から両親(今日は母親も)が来てくれた、今日には転院できるか?と医師と
話をしていた。もうその医師、どうでもいいんですけど。早くここを出たい気持ちでいっぱいだった。