明け方まで吐き気が続いた。もう本当に何も出ませんって!と何度も心で叫んだ。
でも体は無情に吐き気を発揮し続けた。
後半は吐き気だけが残ってずっと「オエオエ」言っているだけの状況。
もはや胃酸も出てこない。目は閉じたまま。開けるのがつらい。
トイレにも行けない。小は、し瓶対応。あー恥ずかしいなぁ。
朝方になり彼女が自宅へ戻りたいという。今何時?
親と会社にも連絡しなくては。必死にメールを打とうとする。無理。
彼女に打ってもらう。内容をほとんど確認せずにそのまま送信した。
なぜ電話にしなかったのか。それは電話したくても、うまく声が出せなかったから。
彼女にやってもらえばよかったじゃん?
彼女がいること親に言ってなかったから。
つまりは体裁を先に考えてしまったんだよな。ほんとバカ。
後で親にもこっぴどく叱られた。
朝ごはんが来たが全く食欲なんてない。水、水、水。ひたすら水。
でも水もうまく飲み込めなくて、なんか一生懸命になってしまう。
これも後からわかることだが、このとき軽い嚥下障害が出ていた。
なんとか声を振り絞って会社に連絡をする。まだ何日休むかわからなかったので、1日分の連絡にした。「無理すんな」と言われてちょっと救われる。
メールはどうなっただろうか。返事があったかどうかもわからない。画面を見るのもつらい。
どれくらい時間がたっただろうか。眠っていたらカーテンが開いた。父親の姿。
「どうした」
「わからない…」
そう答えるだけで精一杯。とりあえずほっとし過ぎて父の手を握った。
「怖かった…」
初めて本音が出た。