「日本人をナメている」ということだ。
外国人観光客はガイドブッグやネット・SNSで、ある程度日本文化の予備知識を入れてくるのだが、その中で「おもてなし」という言葉とともに日本人は「チップをもらうわけでもないのに、とにかくゲストをもてなすのが大好きなサービス精神の塊のような人たち」とかなり盛った説明をしていることも多い。
つまり、外国人観光客がやりたい放題やっているのは、「日本人っておもてなしの精神があって、外国人観光客が好きで好きでたまらないから、ちょっとくらいハメを外しても怒らないでしょ?」とタカをくくっているところもあるのだ。
増長させる態度をこちらがとっている側面が否めないってことかも知んないですね。
日本のことを「本来は心からゲストを気遣い“おもてなし”の精神を誇りにしている国」と説明していることだ。
ここまで言われたら、日本旅行を検討している外国人たちは思うだろう。「そっか、日本って国には、外国人ゲストのワガママを最大限許してくれる執事のような人たちがたくさんいるんだな」と。
つまり、今日本全国の観光地で問題になっている「観光公害」というのは、世界に対して「お・も・て・な・し」などと言って、日本のホスピタリティの高さを過度にアピールしてしまったことも原因なのだ。
なるほど。
これまで日本の歴史の中で「おもてなし精神」などというものが語られたことはない。よく「おもてなしは古くは源氏物語にも掲載されている」なんてことが言われるが、それは単に「自宅に客が来たときにもてなす」ということを意味している。
昭和のうちに過度なアピールやキャッチにこれは出ていなかった。
中途からの喧伝文句に乗っけたツケが回ってきたってことか。
閑古鳥が鳴くような観光地も出てきた中で、起死回生のマーケティングとして唱えられたのが「おもてなし」だ。観光や接客に関わる人たちが、ホスピタリティが高く、サービス精神があるということをアピールして、離れてしまった日本人観光客を呼び戻そうとしたのである。
純粋無垢の精神性ではなく、手段として行使する威力としてこれを挙げたのだから、そうなればデメリットも囲うべきもの・・と相手側に認知させるだけの振る舞いもこちらの「手札」におさめてたってことか。
これは日本社会の「あるある」でもある。苦しくなってくると具体的な問題解決を提示するわけでもなく、「ふわっ」とした精神論を唱えて「スポ根マンガ」のように気合いで乗り切ろうとしがちである。「絆」とか「1億総活躍」などはその典型だ。
つまり、「おもてなし精神」というのはもともと、観光業に携わる日本人が、同じ日本人の観光客へ向けて「我々は死ぬ気でサービスします」と「根性アピール」をしたようなものなのだ。
仕事の上でのサービス残業だの、始業前の清掃着替えは時間外勤務だの、そんくらいやって当たり前だろーがの暴言など、日本人は「精神性」に無理くりな強要を平気で「相手」にぶつけるようにもなった。
🐼も接客業やってる時に「こんな店潰したる!」と叫んだ女性客がいたのですが、「この人は何か縁故でもあって強権で当店を潰せるのかしら?」と裏を取ってみると、ファミレスのウェイトレスさんでとても潰す側の人でもなかった時に、ああ、人ってのは威勢だけでもの言ってくるんだなあ・・とガックリしましたし、日頃は多分冴えないサラリーマンな人が、店側に「誠意見せよや!」などと恫喝・恐喝めいたことを口にするのも幾度か出くわしています。クズほど口にしますね。
下らん輩に過ぎませんが、そう見栄を張たがる虚勢は、惨めにも見えましたし、卑怯で対等にやりあえないなって煙たくなりました。
現実の日本はまだ「観光大国」にはほど遠い。外国人観光客がここまで増えたのもほんの最近だし、ホスピタリティも高くない。多言語対応も十分ではないし、何よりもオーバーツーリズム対策に必要不可欠な「ゾーニング」(観光客の流れを戦略的に分散をさせること)もできていない。だから、トラブルが雪だるま式に増えていくのだ
そして、事態をさらに悪化させているのが「安いニッポン」だ。多くの外国人にとって、日本は自国と比べものにならないほど安いカネで遊べる。これが「ハメを外す」ことを助長させるのだ。
あー。
そうですね。
自分たちで勝手に「我々は世界一のサービス精神があります」とハードルを上げたせいで、それを間に受けてハメを外したい外国人たちが、大挙して押し寄せているのだ。
この状況を変えたいのなら、まずは「おもてなしは日本文化」などという嘘を引っ込めるべきだろう。外国人観光客が異国でハメを外したいのなら、それに見合うだけのサービスを提供してカネをきっちり請求する。そこでルールを破ったり、住民や地域に迷惑をかけるような行為をした外国人は、法律に基づいて厳しく処罰もしていく。
舐められるとき、舐めさせていいや、まで拡張できる人が権利然とした顔つきでそれをするのであり、「その態度を取らせた挙動」はこちらにもある。
ので、「舐めさせない」の初動というのは、凛とした態度に改めることであって、以後に似通う愚行愚挙を相手に許さないと屹立させた壁を構築し、印象させるのが先でしょうね。
舐めてかかれる人ってのは、おーむね頭が弱いし、ろくでなし部分が発露してるだけだから、正直そこまでの関わり合いを持つのもどうかとも思わないでもないんですけどね。
互いに「思った通りではない」はあることなので、早々に線引きが肝心でしょう。