たいへんな違いなんだ」とムーミンパパはいう。
(ムーミンパパの思い出、より抜粋)
ほんとうのことがなにか?だなんて軽々にぼくらは生活の中で言ってないだろうか。
「真実はなに?」
「本当のことを教えて!!」
それを探究する人間は貴い。それを人にぶつけるのもたやすい。でもなんだかね、それだけじゃね。
本音ばかりじゃ、どうもね。
ほんとうのことがなにか、と分かってどうだというのだろう。喜んだり、がっかりすることは確かに自分のしてた「期待」を満足させるんだけど、それで済んでいいのかな、って思うのです。
そうした時、ムーミンパパの言葉の含蓄はうれしい言い回しに思えたのです。ああ、いい言葉を言ってるなって思えたのです。ムーミンの原作の本の言葉がつむぎ出す、一種「魔法」のような言葉の鍛練に、読者はたくさんの「心当たり」に風を通すんですね。
豊かなものに触れなくちゃ。こちらから。探して。近付かなくちゃ。眼を開け。耳をすませ。
昔の日本でのアニメ化失敗でヤンソンさんすっげー怒ってたことを思い返せば、いくらかほっとする話です。

