若くとも、一所にじっとしているならば、それはすでに老いたのです。
「たしなみについて」白洲正子:著より
「真に名人と自らゆるす人は、いつも初心の時の心構えを忘れず、しじゅうはげみを怠りません。それが芸の若さを保つ所以です。
功成り名とげて身退く、というのは、すでに引退という一つの行動をしているわけになります。
隠居をして急に老衰するような老人は勝手に老いぼれたらいいのです。人間のできた人なら、隠居することすら、一つの仕事となる筈です。
ごもっとも。そして凡人に及べぬ知見。
現役を退くにあたっても、その事後の物腰のうちに宿るべきものも体得しもしなかった輩は、これらの言説にぐぅの音も出ませぬ。
怠慢が人を懲らしめるのでしょう。胸に刻みます。