「引かねえ」というのは「まだ勝ってねえ」なんだ。
「負けてもいねえ」も入る。負けと一緒では、断じてない!
自分に落ち度があるかもしれねえと心当りのある人は、他人にいわれる前に
自分を責めていて、誰彼になんかいわれる前に肚(はら)の底にイチモツ蓄えてる。
誰よりも自分が分かってて、足りないもんばっかり探していたって、
ないもんはないままで、立派にも凄くもならねえのかもしんないけど
かといって他人に「退(しりぞ)け」といわれりゃ、やっぱ、癪なんだよ。
そういうとき、「引かねえ」だけが、どんなに困難か。
どんだけケツマクって逃げ出したいことか。
勝算のない中で、自分が誰より先に弱さを直視しっぱなしの中で
引かねえ、でいることは強いヤツには分かんねえ。恵まれてるヤツにも、だ。
この映画はそんなのが一杯詰まってた。
期待されてない側の、見栄っ張り上等だけを刻んで堂々と仁王立ちに行った
かっこい阿呆どもの響宴だった。
だから観るに値したし、引かぬにしても訳あって退けねえという
不細工な自分を堪(こら)えて、堪えて、自分に欠けたものを逐一仲間に足してもらって
退かねえ連中の姿を見る2時間になってた。
退かねえうちに、いくらか見込みが出てきて、それをつかみにいく勇気は戦ってる最中にしか萌芽してこなくって、そうだよ、挑んでるうちにしか渡ってこないものを見つけれた連中の景色を、この映画をみる人は一緒ンなって見渡す時間だったんだと思う。
最初に勝てなくても
負けないでいるうちに
いくらか勝てる見込みをつかみにいけるのは
挑戦し続けるつもりでいられた側の、見込み薄のしつこさがあってこそだわ。
そう思った。
下げていいテンションがひとつもねえのよ。
