(☆ほぼ5年前のエッセイです☆)
さんざんな、さんざんな一週間の締めくくりに、せめて、せめてものご褒美にと、一日前の夜中に突然レイトショーの予約を取り、見に行くことにしました映画が「この世界の片隅に」こうの史代先生原作の映画でした。
「アリーテ姫」の監督さんだからなーんの心配もしないで観ました。
あらすじとか、演出とかは話してもあんまり意味を感じないのではしょりまして、ただこの映画の「あり方」の、立ち方、っていうんですかね。そこだけはちと話したくって。
普通に、ただ普通に世界に生きてる人の大多数は「普通の人」ですもんね。目立ったり、輝いたりしてるんでもなく、淡々と、日々淡々と過ごすわけです。
この映画はそれを「戦争」の最中にもその視線を維持してて、自然体に立ってることを素直な感情として肯定してる。潔いのだ。台詞に含蓄めいたものを含ませてしまう映画は山ほどあるけど、そっちのほうの欲が極端に少ないのです。
「息づかい」のようなものを作品全体が大切に、大切にしてることがぴりぴり伝わって来る心地よさったらなかった。台詞でも、テーマでもなく、「それそこの空気」を一緒に吸ってるような感覚を覚えていられること、そのものが幸せな作品だった。
こういうのって邦画にも洋画にも少なくって、アニメとかなんとかってカテゴリーも無意味で、非常にいい映画だと思いました。そうそう、映画ってこういうの、って思ったのです。
ひるがえって思えば、エピソードそのものはけっこう厳しくシリアスであるはずのものをああいう空気にくるんでギフトできる人がいてくれてよかった。あの映画を作ってくださいって言ってくれてる人たちがたくさんいてよかった。そう、心根の底のほうから「よかったー」ってただ言ってられるだけの作品の強さですよ。うん、こういうのって最強。

マンガは読んどいた方がいいかも。
pandaheavenの☆持ってるといいもん☆