時は流れて私は4年通った学校を卒業した。
相変わらず姉の結婚が決まらない中、ひたすらに姉の結婚を待つ形で、資格試験を受けたり着付け教室や英会話スクールに通う日々を過ごしていた。
姉のアルコール依存は一向に治る様子は無かった。むしろ良くないことが起きてしまった。
ある日のこと・・・・
腹水が溜まりに溜った姉は、まるで出産を待つ妊婦の様だった。
緊急入院をした姉は利尿剤が効かなければ死んでしまうのに、事の重大さが分かっていないのか、余りに呑気な様子に呆れかえる。
お酒の飲み過ぎで肝機能もかなり低下していた。更に、脳にも影響が出ていて、
20代の若さで"認知症"の様な脳の萎縮がみられるとドクターからの説明を受けた。1度萎縮すれば元には戻らないと。
しばしば姉はトイレが間に合わないことが有ったので現実味が有り背筋が凍る思いがした。
そんな姉だが、どこで知り合ったのかお付き合いをしている男性がいたようだった。夕食が終わる頃の時間になると一人タクシーを拾い繁華街に行っていたようだ。
それも、
どうやら家庭の有る人のようで不倫だった。
そして、姉は妊娠をした。
親に言えるはずも無くどんどんお腹は大きくなっていったが、4人も子供を産んいるという実母は全く気が付かずに
姉が太ったとしか思っていなかった。
姉は妊娠しても1日もお酒を止める事は無かった。正に、アルコール中毒。
その現実が怖ろしくて恐ろしくて耐えられなかった。
この時の数か月間、
私は姉のお腹にいる子に対して酷く同情していた。どのみち生まれて来れない運命で
望まれていない。
遅かれ早かれ居ないことになる子。
それは、
実母が私を妊娠中に喫煙を続けれれて、
苦しかったであろう自分と重なったからだ。
そして、
堕胎期限がギリギリのタイミングで
人工流産という形で、
母体も危険な状況で、
やっと、やっと、やっと、
子供を下した・・・・
この日の気持ち悪さを覚えている。
姉はこの一件を3女にだけ打ち明け、
3女からの相談で私が知る事になった。
3女と二人、墓場までの秘密を持った。
こんな秘密を作り
辛い思いをさせる姉を許せなかった。
終に私は姉を見切った。