黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。 -18ページ目

黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

耕 せ ば ま た よ み が え る 星 だ か ら ぼ く ら は 両 手 を も っ て 生 ま れ た



Fantasy S el ler

畠中恵、仁木英之、森見登美彦、堀川アサコ

遠田潤子、紫野貴李、石野晶、宇月原晴明


2011年



今年最初に読んだ小説はアンソロジーでした。


名だたる作家さんが短編を発表している

「Story Seller」の番外編。


ファンタジーノベル大賞、または優秀賞を受賞した

作家さんたちが集結しています。


私がファンタジーノベル大賞を知ったのは

第一回の大賞受賞作「後宮小説」をアニメ化した

「雲のように風のように」をたまたま見たのが最初でした。


あれは本当にいいアニメだった。


今でも数々のシーンを思い出せますが

見たのは10歳のときだったんだなぁ。しみじみ。


それにしても「Fantasy Seller」は

とてもとても濃いアンソロジーでした。


それぞれの作品の感想を書いていきたいと思います。



「太郎君、東へ」 畠中恵


太郎君て誰じゃい、と思ったら

なんと坂東太郎、つまりは利根川でした。


その太郎君が荒れているというので

利根川に棲む河童の大親分、禰々子は

人間に成りすまし、その原因を突き止めに行きます。


キャラクターの描写が素晴らしく

河童の世界に存分に浸りながら

面白く読むことが出来ました。


ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した

「しゃばけ」は有名ですが

まだ読んだことがないので

ぜひ読んでみたいと思いました。



「雷のお届けもの」 仁木英之


河童の次は雷さまのお話。


ある出来事により人間界から雷の世界へ

移り住むこととなった董虔。


一人前の雷となるため

王から命じられた初めてのおつかいに挑みます。


ファンタジーノベル大賞を受賞した

「僕僕先生」シリーズのスピンオフらしいですが

初見でも楽しめるようになっています。


子どもも楽しんで読めそうな作品でした。



「四畳半世界放浪記」 森見登美彦


登美彦氏の四畳半世界についての考察。


「四畳半神話体系」のスピンオフ…なのかな?

とりあえずぐだぐだと四畳半について語ってます。


このアンソロジーの中で一番くだらないんだけど

そのくだらなさに笑っちゃうんだよなー。


これが出来るのは森見さんだけだと思うわ。



「暗いバス」 堀川アサコ


時刻表にも乗っていない真夜中に走る一本のバス。


それを利用する主人公とそこに乗ってくる乗客のお話。


これ面白かった!


乗客はみんな主人公に自分語りをするんだけど

みんなミステリアスで魅力的。


そしてその人物たちがどんどん繋がって…

ラストもよかったです。



「水鏡の虜」 遠田潤子


今回いちばん惹かれたのはこの作品でした。


山椒太夫、安寿と厨子王のお話を

新たな切り口で描いた作品。


なにしろ筆力がすごい。

凄すぎて拷問の場面なんか

指の隙間からじゃないと読めない。


でも心を抉ってくるような文章に魅了されました。


やはり私は人間の怖さを描く作品が好きなようです。


2009年にファンタジーノベル大賞を

受賞しデビューとのことなので

これからに注目したい作家さんです。



「哭く戦艦」 紫野貴李


激戦をくぐり抜け

記念艦として余生を送る戦艦三笠。


その三笠が夜な夜な哭いているという。


左手の義手に不思議な力を宿す主人公が

その義手を作った仏師とともに

三笠に宿る船霊と接触する。


前の二作品が好みだったせいか

冒頭からあれ?と首を捻ってしまいました。


三笠に宿る船霊という題材は

とても興味を惹かれたのですが

なにしろ文章が好みでなかったので

入り込めないまま終わってしまいました。



「スミス氏の箱庭」 石野晶


東北の小さな高校に棲みつく

謎の生き物、スミス氏。


彼にお世話係りを命じられた由枝は

いつしかスミス氏と過ごす時間が

かけがえのないものになっていた。


しかし、ある出来事が

スミス氏と生徒たちとの関係を大きく変えていく。


これも面白かったなぁ。


展開としては王道的な感じなんだけど

学校という空間の異質さを

ファンタジックに描いたいい作品でした。



「赫夜島」 宇月原晴明


竹取物語から二百年後

平将門と藤原純友は藤原仲平の命により

かぐや姫が残したとされる

不老不死の霊薬を求め赫夜島へと向かう。


しかしそこは

向かったものが誰一人戻ってこないという

瘴気に覆われた島だった。


まるで大長編を読んでいるような

とても壮大なお話でした。


かなり奇怪な内容ですが

文章が美しく

独自の世界観を確立している

作家さんだなと思いました。



ファンタジーという枠に収まりきらないような

様々なお話が詰まっていて

読んでいてとても楽しいアンソロジーでした。


今回印象深かった作家さんは

他の作品も探して読んでみようと思います。



今日はフルでバイトの予定だったんですが
シフトの間違いがあり急きょお休みに。

息子はお弁当持ちで一日部活だし
ぽっかり出来た自由時間を無駄にしたくないと
行ってきました、浦和。


なぜ浦和か。

それは明日で会期終了の
ルーヴル美術館の銅版画展に行くためです。

会場のうらわ美術館は初潜入でした。

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この立派な建物は
浦和ロイヤルパインズホテル。

この3階にうらわ美術館があります。

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専用エレベーターで3階へ。


今回の展覧会はルーヴル美術館の
カルコグラフィーコレクション。

カルコグラフィーとは
銅版画とその原板コレクションの
保管室を意味します。

まず最初に出迎えてくれるのは
美術館が宮殿として建てられた時代の銅版画。

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「ルーヴル宮殿正面玄関のペディメントのための
2つの巨大な石を持ち上げるのに使用された
機械の図」セバスティアン・ル・クレール

なぜこんなに長く説明的な
題名がついているのかというと
当時の銅版画は芸術としてではなく
パリの美しい建築を国内外に
伝える目的で製作されていたからです。

だからこそのこの精密さ。

これを見た瞬間来て良かったと思いました。

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「ルーヴル宮殿の平面図と立面図」
ルイ=ピエール・バルタール

これはポスターあったら欲しかったなー。


続いてはルイ14世が自ら現場監督をし
造り上げたヴェルサイユ宮殿と大庭園。

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「アルム広場の風景」
イスラエル・シルヴェストル

こういった着色されたものもありました。

馬車の色がキュート。

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「迷宮の地図」
セバスティアン・ル・クレール

「ヴェルサイユの迷宮」と題された
図版の1ページです。

なんだかRPGの地図みたい(笑)
まさに迷宮だったのでしょうね。


続いてはルネサンス時代の作品。

一言でルネサンスといっても
場所によって特色があるようです。

イタリアルネサンスは
一点透視法の発展や
骨格、筋肉など解剖学的人体の表現が特徴。

一方、北方ルネサンスは
油彩画が発展し
質感の表現に重点を置いていたようです。

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「三美神(春の部分)」
サンドロ・ボッティチェリ

しっかりと描かれた人体はもちろんですが
背景の草花の精密さにも目を奪われます。

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「エラスムスの肖像」ハンス・ホルバイン

こちらは質感に目を奪われました。


ルネサンスの大きな流れは
やがてバロックへと移り変わり
より躍動的で劇的な描写が現れます。

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「岩を打つモーゼ」ニコラ・プッサン

プッサンはそれほど好みではないなーと
思っていたのですがこれは凄かった。

ひとりひとりの動き、表情。

老人から幼子まで
それぞれがそれぞれの意思を持っています。

特に左手前の
手を広げて跪く老人は凄かった。

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「鍛冶屋」ルイ・ル・ナン

宗教画や貴族の肖像画がメインの時代に
農民や庶民の素朴な生活を描いた画家。

その精神はやがてミレーへと引き継がれます。

光と影が印象的な作品でした。


バロックからロココの時代になると
装飾的な絵画が多く現れます。

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「食前の祈り」
ジャン=バティスト・シメオン・シャルダン

この油絵はシャルダン展で見ました。

シャルダンの柔らかさを感じられる銅版画です。


19世紀に入り、フランス絵画は
写実主義、ラファエル前派、
バルビゾン派、印象派など
多種多様に分かれていきます。

ここでは新古典主義から
2人の画家の作品をご紹介。

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「サビニの女たち」
ジャック=ルイ・ダヴィッド

これはとにかく中央の盾の質感が凄かった。

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「浴女」
ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル

これも素敵だったー。

油絵のほうもいつか見てみたい。


20世紀絵画の章では
モディリアーニ、ローランサン
藤田嗣治などが並んでいました。

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「グラスに挿した野の花(秋)」長谷川潔

精密ながら無駄のないシンプルな線。

他の季節の作品もあるのでしょうか。


最後に紹介されていたのは
19世紀のフランスやイギリスで
大流行したボタニカルアート。

元々はカメラなどのない時代に
植物研究として作成されていたもの。

植物はそれ自体が芸術的であるため
精密に描けば描くほど
その芸術性にも
魅了されていくのかもしれません。

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「熱帯植物、ヤシ、カラジューム
バナナの木、シダ」
ユージェーヌ・ブレリー

こんなのボールペンで描いてみたい。


そして映像コーナーでは
実際にルーヴル工房で
原版を使って版画を刷る行程を
見ることができます。

こちらもとても貴重な映像で
勉強になりました。

いつか銅版画もやってみたいなぁ。


数々の名画の銅版画を見ることが出来るとともに
ヨーロッパの絵画の歴史を辿り
銅版画の知識も得ることのできる
とても素晴らしい展覧会でした。



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うらわ美術館    2014.11.15 ~ 2015.1.18
今年の初美術館は
三菱一号館美術館。

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ミレー展に行って来ました。

このタイトルだから
ミレーばかりかと思いきや
バルビゾン派の作品がたくさん。

これはうれしい誤算でした。

バルビゾン派といえば
4年前府中市美術館で見た
「バルビゾンからの贈り物」を思い出します。

あの展覧会で素朴な中に自然の偉大さ感じる
バルビゾン派の作品に魅せられ
いつか訪れたい地のひとつになりました。

今回はボストン美術館所蔵の
バルビゾン派の作品が来日し
新しい出会いがたくさんありました。


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「自画像」ジャン=フランソワ・ミレー

とても写実的なミレーの自画像。

ミレーは肖像画も多く描いていたようですが
自画像は初期に描かれた4点のみだそうです。


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「森の小川」ギュスターヴ・クールベ

バルビゾン派の作品は
森の深さを感じるものが多いですが
その中でもこの緑は本当に深かった。

森にいるときその緑の深さに
恐怖を覚えてしまう
そんな感覚をこの絵からも感じました。


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「森の中の池」
ナルシス・ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ

今回魅せられた画家のひとりが
このラ・ペーニャです。

うっそうと茂る草木は
ひとつひとつ鮮明には描かれず
筆の掠れたような風合いが
絵に独特の立体感を与えています。


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「ブリュノワの牧草地の思い出」
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー

コローも素敵な作品がたくさんありました。

他の同世代の画家たちと並ぶと
コローの個性を改めて感じます。


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「森の中の道」
シャルル=フランソワ・ドービニー

大好きなドービニーもひとつありました。

ドービニーの雲は本当に凄い。


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「日没前の光に照らされるイガマメ畑」
アントワーヌ・シャントルイユ

舞台は森から大地へ。

閉ざされた森から抜け出し
現れるこの絵の広がりは凄いです。


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「野原を抜ける道」
エミール・シャルル・ランビネ

今回いちばん好きだった作品。

ぶ厚い雲と広がる野原のバランス
人の配置と赤い花
何気ない素朴な風景の中に
絶妙なセンスを感じます。


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「働く人」ジャン=フランソワ・ミレー

ミレーらしい作品。

シルエットとなった農民の姿が
力強く生き生きと描かれています。


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「洗濯女」ジャン=フランソワ・ミレー

色のグラデーションが
とてもきれいな作品。


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「別離の前日」ヨーゼフ・イスラエルス

続いては室内の日常を描いた作品たち。

ミレーの作品もたくさんありましたが
多くの人の視線を集めていたのはこの作品。

光と影が美しく印象的でした。


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「干し草づくり」ジュリアン・デュブレ

最後は「ミレーの遺産」と題し
ミレーの流れを受け継ぐ画家たちを紹介。

デュブレはバルビゾン派の影響を受けつつ
印象派の華やかさをもつ画家です。

バルビゾン派と並ぶと
その明るさに惹きつけられます。


ミレー展というタイトルではありますが
中身はミレーを軸とする
バルビゾン派の展覧会です。

展示数は64点と少なかったですが
久しぶりにバルビゾン派の作品たちに
触れることができて
大満足の展覧会でした。



in

三菱一号館美術館

2014.10.17 ~ 2015.1.12