黒と茶の幻想。 | 黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

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耕 せ ば ま た よ み が え る 星 だ か ら ぼ く ら は 両 手 を も っ て 生 ま れ た




黒と茶の幻想
恩田陸  2001年



学生時代の同級生だった男女4人が
俗世と切り離されたような島へ旅行へ出かける。

一見すると小さな同窓会のようなその光景の中には
それぞれが抱え持つ闇にからみつく
切なくも美しい謎が秘められていた。


「三月」のラストにも出てくる冒頭の文章は
本当に惹きつけられます。

物語は4つの章で構成されていて
章ごとに男女4人それぞれの視点で描かれています。


恩田さんというと学園もののイメージが強いので
大人の男女が主人公というのが新鮮でした。

でもやはりそこには恩田ワールドがあり
彼らの過去の謎や
時が止まったままの美少女の面影
そして恐ろしいほどの大自然の描写が
見事に絡み合って世界を作り上げています。


私は自然の少ない土地で育ったせいか
圧倒的な大自然を前にすると
美しいとか癒されるとかそういう以前に
ただただ恐怖を感じてしまいます。

海でも山でも森でも
飲み込まれて、そして二度と戻れない
そんな恐怖を感じてしまうのです。

この物語で描かれているのもそんな大自然。

彼らは森を彷徨いながら
自分の心に巣くう闇を彷徨っている。

そして、彷徨えば彷徨うほど
闇は大きな口を開けて彼らを飲み込んでいく。

そんな底なし沼のような恐怖が
この物語にはあるような気がしました。


誰もが森の中を歩いている。

どこが入り口でどこが出口かもわからないまま。

歩いていても立ち止まっても休んでいても
不安はいつもつきまとう。

それでも私たちはきっと歩く。

迷子になった子どもみたいに。

それが生きるということだから。


意外にも最後を飾った節子の章が見事でした。

やっぱり恩田さんは凄い。