フリーダム・ライターズ。 | 黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

耕 せ ば ま た よ み が え る 星 だ か ら ぼ く ら は 両 手 を も っ て 生 ま れ た






フリーダム・ライターズ

2007年 アメリカ

監督、脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ

出演:ヒラリー・スワンク、スコット・グレン




荒れ果てた高校に希望溢れる教師がやってきて、生徒たちを更生させる。

こう書いてしまえばよくある学園モノ。

でもこの作品の凄いところは、それが紛れもない実話であること。


まずショックを受けるのが、このような人種間の差別や抗争が
ほんの10数年前に起きていたということ。

当時私も彼らと同年代。

彼らが銃声に怯え、外は戦場だと言い
18歳まで生きるのが目標だと語っていたそのとき
私は命についてなんて考えたこともなく
当たり前のように毎日学校へ通い、つまらないと居眠りをしていた。


人種差別は本当に根深い。

そんなこととは無縁な世界に生きる
私たちの想像なんて、遥かに超えている。

そんな荒れ果てた場所へ、あえて身を投じるエリン。

彼女は正義感と希望に満ち溢れています。

最初は弁護士を目指していましたが
法廷で少年たちを弁護しても遅いと感じ
その前に彼らを救えるのは教師だと考え、高校教師になったのです。

しかし彼女が身を投じた世界は、彼女の想像する以上のもの。

それでもエリンはめげない。

様々なアプローチを試みて、203教室の中の国境線を崩そうとします。


限られた時間の中で、生徒それぞれが持つ
過去の苦しみや悲しみを丁寧に描いています。

その中でも1人の少女に焦点をあてることで
観客をぐいっと惹きこみます。

生徒役の多くもオーディションで選ばれた現役学生で
中には役と同じようにストリートで暮らした経験のある人もいる。

そのリアルな演技が素晴らしいです。

そしてやはり、脚本を読んでこの作品に惚れ込み
製作総指揮まで務めたヒラリースワンクの熱演。

本当に素晴らしい女優さんだと思います。


生まれたときから肌の色で
「お前はこっち、お前はあっち」と歩く道を決められるような世界。

金を手にできるのはラッパーと運動選手だけ。

後は最初から「落ちこぼれ」の烙印を押され
学校側も早く来なくなることを願っている。

そんな中でどんな夢を持てというのだろう。

偉い人が「差別をなくそう」と差別撤廃を成功させたとしても
人々の中に根付いた意識はスイッチを切り替えるようには変わらない。

それは「マンダレイ」でも感じたこと。


しかし、若者たちは助けを求めている。

心の奥底で、誰もが助けを求めている。

本当は誰かに言って欲しい。

「世界は希望に溢れている」と。

「君の未来は君が決められるんだ」と。


エリンは必死に生徒たちに語りかけた。

自分の人生の全てを生徒たちに費やした。

それがエリンの誇るべき人生。


父親がエリンに言った「お前は仕事に祝福されてるんだぞ」という言葉。

そんな仕事に出会えることはどれほどの幸せだろう。

そして、そんな仕事をするエリンにはどれほどの苦労と努力があっただろう。


日本にはこれほど深刻な人種差別はないでしょう。

それでも学級崩壊や教師の不祥事など
教育の場は様々な問題を抱えています。

いま、「将来の夢は学校の先生」と
胸を張って言える子供がどれだけいるだろうか。

世界中の教師たちはこの作品を観て
自分の仕事に誇りを持って欲しい。

そして教師以外の人たちはこの作品を観て
教師という仕事の素晴らしさを再確認して欲しいです。


理想的な物語を見て

「こんなの綺麗事だ」
「現実はそんなにうまくは行かない」

そう思っている全ての人たちへ。


綺麗事を言って何が悪い。

綺麗事こそが、世界を変えられるんだ。