壁をひとつ乗り越えたら、目の前にまた次の壁がたっていた
ちょうど連続とびの飛び箱のように、だんだんと高さを増して・・・
跳べない子供だった私は、ただがむしゃらに突っ込んでいく
泣きながら、何度も何度も突っ込んでいく
いつの間にか背が伸びて、いつの間にか力も強くなって
手をつく場所を知って、飛び箱は上手に跳べるようになったけれど
気がつけば、飛び箱は手をつく場所のない高い壁になっていた
その先の景色を知りたくて、その向こう側に行きたくて
今度は必死に壁に跳びかかる
大人になった私は、便利な道具を探して一気に飛び越えようとする
あと少しのところで、転げ落ちるたび道具の数だけ増えていく
いろいろな道具を試して、背負っていた重い荷物を切り捨てて
ピッケルとロープだけで、一歩一歩壁を乗り越えたけれど
気がつけば、目の前に遠く遥かな地平線がひろがっていた
壁をひとつ乗り越えたら、目の前にまた次の壁がたっていた
いままでずっとそんなことの繰り返しだから
壁のないことに不安になって、見えない壁を作ろうとしている
見えない壁を越えようともがいている
まるで風車と戦うドン=キホーテのように・・・。
障害物は何もないきらきら光る地平線
「人」になった私は、遥か遠くの地平線を目指して長い長い道を歩きだす
差し伸べられたたくさんの手とかけられたたくさんの声
すぐ傍で支えてくれるたくさんの存在(なかま)たち
ありがとう、ありがとう、ありがとう
みんながいてくれたから、私は今ここにいる
それら全てを抱きしめて、今私はここに立っている
必要なのはほんの少し、信じる強さと諦めない勇気
私の行く手を阻むもの・・・それは私の中にある
「どうしたいの?」とたずねたら
「また歩き出そう」と私が言う
「まだ歩き続けたい」と私が言う
あの地平線の向こうに私の目指す場所がある
私はそれを知っている