茶色の服の男 アガサ・クリスティ
茶色の服の男(The Man in the Brown Suit1924)はアガサ・クリスティの4作目。少女アンが活躍する冒険もの。クリスティ文庫72は2011年5月発行、2023年2月3刷。早川文庫では1982年8月発行、1997年12月15刷だ。考古学者の父を亡くした少女アンは、ロンドンの地下鉄で転落死に遭遇する。その場に居合わせた医者らしき男が落としたメモ。殺された男はイギリスの下院議員の所有する家を見学する招待状を持っていたが、その家を訪れた女性も殺される。その家に現れた茶色の服の男。アンは、そのメモの謎を追い、遺産を元手に、イギリスから南アフリカ行きの航路に乗り込む。船中で出会うさまざまな人々。下院議員のペドラー。ペドラーの秘書パジェット、レイバーン、ミス・ペティグルー。金持ちのマダムのブレア夫人。美男のレース大佐。宣教師のチェチェスター。そそて、国際的な犯罪組織が南アフリカの鉱山資源を巡り暗躍する。組織のドン「大佐」。活劇あり、恋愛あり。個性的な登場人物と好奇心たっぷりの少女のスリリングな行動を追うだけでも楽しい時間が過ごせる。アンの語りとペドラー議員の語りが交互に。旅先ミステリーの先鞭となる作品。クリスティーも夫と二人で航路の世界一周の旅に出、南アフリカに立ち寄り、本書のあらすじを考えたらしいのだ(クリスティ文庫解説)。中学の地理では、南アフリカはダイアモンドの国だった。調べてみると発表された1924年、南アフリカは大英帝国、イギリスの植民地だった。1934年に主権国家となる。