O side 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッとしたような気持ちで目が覚めた。

 

 

 

ちょっとドキドキしてる感じで、そしたら、横にカズがいた。

 

だから、ホッとした。

 

カズは丸まった背中で床に両ひざを抱えるみたいに座って、スマホを見ている。




とても静かだった。

 

 

部屋の中はクーラーが効いてて、けど、窓から刺す日差しは強かった。

 

それを見てると涼しいのか暑いのかよく分からないような感覚になった。

 

けど、今年の夏はやたら暑かったし、釣りにいきゃあ、あっという間に日焼けした。

 

自分の足の甲を見たらギョサンのあとがくっきり浮かび上がっている。

 

 

 

 

 

 

そういやさ

 

 

夏は繰り返すけど、今年は平成最後の夏なんだとよ・・・。

 

 

 

 

 

「・・・ラムネとか、かき氷、食いてぇな」

 

「いいんじゃないですか?」

 

「髪型さ、金髪とかアフロとかにしてぇな、夏だし」

 

「いいと思いますよ?」

 

カズは座り込んでさっきの姿勢のまま表情も変えずに言った。

 

テキトーに相槌うってんな(笑)、コイツ・・・。

 

 

 

 

「最後の夏らしいしよ」

 

「間違いなく来年も夏は来ますから」

 

「来ねえから!平成の夏は来ねえから!」

 

「夏はくるよ、来年も再来年も。何被せてきてんだよ、バカ」

 

 

 

やっと、カズが顔を上げてこっちを見た。

 

何を言っていいか分からなくて、カズが何を考えてるのかも分かんなくて、おいらは喉元を触った。



 

 

「しょーがないな」

カズはそう言って身体を起こした。

 

「よっこいしょ・・・」

近づく顔、カズの方からおいらにキスした。

 

 

 

 

なんとなく、なんとなく、胸が苦しくなってしまった。

 

 

きっと、平成最後の夏のせいだ。全然、違うだろうけどよ。

 





 

 

 

 

 

 

 

「いつまでこうしてられるんだろうな・・・」

 

 

 

 

「ずっとだよ」

 

 

 

カズは座り直してスマホに眼線を戻して言った。

 

 

 

「ずっとに決まってんだろ」

 

 

 

耳に余韻が残る落ち着いた声だった。

 

 

 

 

嬉しいような切ないような、よく分からなくて、おいらはただ、カズの横顔を見た。


 

しばらくすると、カズが微かに揺らした隙に、夏の日差しがカズを照らした。

 


カズは眩しそうに顔をしかめた。



 

その顔は、カズがたまに見せる男らしいカオで、おいらはその凛々しいような少し疲れたようなカオが好きだった。



 

とても、とても好きだった。