不育。

ネットのおかげもあって、流産という悲しい事に出会ってしまった人は、必ずこの言葉に出会い、検索をするようですね。

不育が知られるようになった事で「○○大学の☆☆先生が不育の研究をしている」という患者同士の情報交換なども活発です。研究をされている先生方も患者向けにわかりやすく講習会を開いて下さったり、有名な名古屋市立J病院のA先生はメールを受け付けいて、不育の患者から大変評判がいいです。

こうやって「不育」が知られるようになっていた昨今ですから、一般的な産婦人科の病院でも、流産後に話題にする患者さんが多くなっているのでは?!と想像します。


それまでは「流産は一定の確率であること」だと、流産自体で傷ついている患者に科学的確率を話し、「だから、次もあるということは低い」と、そこは何の根拠でそう言ってるんだか?という医者が結構一般的だったと思うのですが、(まぁ、数値的な根拠はあるようですけど、そんな話は当事者の耳に素直に入るわけはないんです。それを言うと「じゃあ、『インフォームド・コンセント』『EBM』は何のためにあるんじゃ?」という展開になってしまいますけど(^^ゞ)↑に書いたような情勢もあって、最近は、「不育」について注意を払ってくれるお医者様が増えているのではないか、という感じを若干うけるのですが、どうでしょうか。


私が不育という言葉を知った頃に、ある不妊系の医者が「不育の医者は子宮を見ないから」というような物言いをしていた、という話を耳にした事があります。それくらい、生殖医療の世界では「流産」は「有り得る事」として処理されてきていたのでしょうね。当事者の心理状態とは関係のないところで。


ところで、不育についての「原因」の一つに「免疫」の話がありますよね。

この件に関しては超有名になったTK大学の産婦人科S先生をはじめとする論文のおかげと産科婦人科学会などで再三取り上げていただている事などで、「血栓」が胎児の発育を邪魔しているから高温期が続き始めたら「低容量バファリン」や「ヘパリン」を投与する事で事態が大幅に改善される、というのが、最近のスタンダードのような感じをうけます。(あくまでも素人な患者が感じる事です。)

不育の検査についても、基準内容のようなものが構築されたという事で、その中には今まで言われてきた不育での免疫に関する項目がいくつも内包されており、私が「どこの病院ならこの検査をしてくれるか」と必死でネットで調べていた時よりも格段によくなったなぁ…と、隔世の感があります。


でも、検査で免疫を調べた時に基準値をオーバーしている人なら、そのような治療の道があるのですが、いかんせん、基準値ギリギリだとか、ひっかからない、とかいう人もいるんですよ。

患者の立場からすると、検査値にひっかからかったら、どうしたらいいのか??という事になるわけで。

お医者様だって「どうしようか」って事になりますよね。異常値がないっていう事は 「患者ではない=健康な人」 という図式にしかならないわけですから「病院に来る必要はないです」とおっしゃるしかないでしょうね。病院は病人が行く所ですから。


でも、患者は「次の妊娠」について凄く悩みます。

「また、流産したらどうしよう」。

流産=失敗というふうには個人的にはしたくない表現ですが、結果としてそういう事になり、その不安・恐怖感と「でも、妊娠しないと、子供には会えない」という気持ちの葛藤の日々の中で恐る恐る前に進むんです。

そしてまた、流産になる。

これはパニックです。不育の検査で引っかかっていない人なら尚更です。

実際にそのような方に、私は「検査精度」があるかもしれないから他の病院で調べてもらうというのも手段なのでは?!と提案した事があります。でも、あくまでも素人の提案。根拠は薄いです。でも、「可能性」を求めてみてもいいと思ったから、言いました。金銭的な問題はありますけど、こういう時何か光明を求めている時にはすがるものが必要だと、そういう経験をたくさんした私としては言わずにおれませんでした。

今、有名なTK大学病院や名古屋市立J病院に全国から患者さんが通院・入院している現状も、何とか不育を打破したいという個々の方々の切なる願いの表れだと思います。


原因不明の不育。ここ最近、そう言われたという方が増えてきているような気がしています。

「オーダーメード医療」。前の記事でもちょっと書きましたが、不育の分野が今以上に染色体・遺伝子レベルで原因がわかり、それに対する治療法が出来るとしたら、今、悩んでいる方も明るく前に進む事が出来るかもしれません。

でも、その世界は今まで知らなくてもいい事も知ってしまう事になります。私自身、子供の染色体の件で検査をし、染色体についていろいろ調べていると「どうしようもない事実というのがある」事をどう受け留めるべきか考え込みました。


不育は妊娠する当事者(=妻)だけでなく、関わる人(=夫)にも考えて欲しい、という事が、これからますます言われるようになってくると思います。

なんといっても、子供は夫婦の遺伝子が合わさって誕生するものです。(この表現は、夫婦外間などは考えていない、と解釈して下さいm(__)m)

最後は夫婦の考え方と生き方…というところに来るのかも知れませんね。