平成29年度 Ⅱー1-1

高分子の分子量分布に関する以下の問いに答えよ。

(1)分子量分布を求める代表的な測定方法を1つ挙げ、その概要を述べよ。

(2)分子量分布を制御する方法を2つ挙げ、それぞれの長所および短所を説明せよ。

(3)分子量分布が成形時の溶融粘度に及ぼす影響について説明せよ。

 

 

(1)は基礎的な問題ですね。GPC(SEC)が一般的かと思います。

(2)「制御する」という記載だったため迷いましたが、「狭める場合」と「広げる場合」で記載しました。Copilotによる回答(末尾の参考資料)で「分別法」が挙げられていましたが、「制御」ではないですね。またリビング重合を短く端的に説明するのが難しかったです。

(3)溶融という問題のため、伸長が溶融している状態を示すか悩み、歪み硬化を書くのをためらいました。しかし、溶融の流動には「せん断流動」と「伸長流動」の両方が入ると考え、歪み硬化についても記載しました。

 

【参考資料】

繊維学会誌 Vol. 53, No. 1(1997)

 

【参考例】Copilotによる回答

(1)分子量分布を求める代表的な測定方法として「ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)」が挙げられます。この手法では、分子量の異なる高分子をサイズに基づいて分離します。カラム内の多孔質ゲルを通過する際、分子量が小さいものはゲルの孔に入り込み溶出が遅くなる一方、分子量が大きいものは早く溶出します。この溶出時間を基に分子量分布が解析されます。
(2)分子量分布を制御する方法として以下の2つがあります。
- 重合条件の調整:反応温度や触媒の選択により分子量分布を制御します。長所は細かい制御が可能である点で、短所は条件設定が複雑で最適化に時間を要する点です。
- 分別法(Fractionation):分子量の狭い画分を得る手法です。長所は高い精度で分布を制御可能である点、短所は操作が煩雑で大量生産に不向きな点です。
(3)分子量分布が成形時の溶融粘度に与える影響として、分布が広い場合、低粘度となり流動性が向上するため成形加工が容易になります。一方、分布が狭い場合、高粘度となり流動性が低下することがあります。これにより、成形品の物性や品質に影響を及ぼすため、目的に応じた分子量分布の制御が重要です。分子量分布の調整は成形加工性と製品性能のバランスを取るための鍵となります。