お越しいただきありがとうございます。
スローペースで進んで行っております。気長にお付き合い下さいませ。
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:
「そこを動くな・・・て言われても」一方的に切られた携帯電話を見ながら溜息をついた。
この場でどれくらい待てば良いのか・・・。
「ふぅ~」
その場を見回すと少し先に温室が見えた。苦い思い出しか記憶にないが人目を避けられると思いそこまでトボトボ歩いて行った。
中に入ると沢山の花が咲いていて、香りを楽しみながらテギョンを待っていた。
同じ頃、公園の駐車場に青い車が停まりサングラスを掛けた長身の男性が降りて来た。足早に園内へと入って行くとすれ違う人々が一瞬驚いた表情で振り返るがまさかここに“A.N,JELL”のファン・テギョンがいるはずがないと思い再び歩きだした。
「意外と平気なものだな」口を片方だけ上げミニョを探した。
“そこを動くな”と言ったが場所が何処なのか?。携帯電話を出しミニョに掛けた。
「公園に着いた、何処にいる?」
「温室にいます」
「すぐ行く。良いか、絶対動くなよ」
その言葉を聞いた瞬間ミニョの心臓が早くなり始めた。
数時間前に会っているのに・・・なぜか緊張する。立ったまま胸に手を当て目を瞑ってテギョンを待った。
入口の扉が開く音が聞こえ、振り返るとテギョンがミニョの方へ真っ直ぐ歩いて来て力強く抱きしめた。
ミニョは驚きやっと出た言葉は「苦しいです・・・」
そう言ってみたがテギョンの力は緩まなかった。
「お願いですからちょっとだけ力を緩めて貰えませんか?」
テギョンの腕の中から逃れようと体を左右に動かしていた。
「俺が嫌いなのか?」
「そういう訳では・・・。ただ誰かに見られてしまったら大変なことになります」
「俺は見られても構わないし、お前との事を公表しても良いと思ってる」
「それは駄目です」
ミニョの強い口調にテギョンは不満げな顔をした。
「どういう事だ。さっき俺に“会いたかった”と言ったのは嘘なのか?」
「嘘ではありません。アフリカにいてもファン・テギョンssiの事を忘れたことはありません。会いたかったと思う気持ちも本当です」
その言葉を聞いて満足そうな顔をしたが直ぐに
「じゃあ、何で駄目なんだ」と口を尖らせた。
「もし二人で居る所を誰かに見られたり、写真を撮られたらアン社長やシヌヒョン、ジェルミニまでご迷惑をお掛けします。それにファン・テギョンssiのファンの皆さんを悲しませたくはありません」
「ファンを?」
「はい。以前、ユ・ヘイssiとの事を記事にされたことがありましたよね。あの時ファンの皆さんが事務所の前で泣いていたのをご存知無いですよね。皆さんは“テギョンオッパが幸せならば・・・”とお祝いされていましたが私はお祝いしなければと思いながら胸が苦しくて苦しくて仕方ありませんでした。
私もファン・テギョンssiのファンですから同じような思いを皆さんにさせたくはありません」
「そんなことを気にしていたら・・・。俺はお前との事をずっと公表できないのか?」
「それは・・・。この先二人の気持ちが変わらず続いたいったなら・・・いつかは・・・」
最後の方は言葉が聞こえないくらい小さくなっていき下を向いてしまった。
「俺は今もこの先もお前に対する気持ちは変わる事はない。お前は不安なのか?」
「私はこの先も変わらないと思います。でもファン・テギョンssiの周りには綺麗な方がたくさんいますし私よりずっとずっと素敵な方に巡り合うかもしれません」
「俺がこの先も変わらないと言っているんだから心配するな。お前も俺の近くにいて俺だけを見ていればいいんだ。わかったな」
「はい」
今はテギョンの事を信じていれば良いとミニョは思った。
「ところでその格好で俺を“ヒョンニム”と呼ぶのは可笑しいだろ?」
ちょっと意地悪そうに聞いた。
「そうですよね。・・・・“ファン・テギョンssi”?」
「違う」
そう言われて以前シヌと偽りの恋人同士の馴れ初めを練習した時の事を思い出した。
「“テギョンオッパ”ですか?」
言い慣れない言葉を口にし少し頬が赤くなった。
呼ばれてまんざらでもないテギョンは
「みんなそう呼んでいるんだ、お前もそう呼ぶのが当たり前だろ。もう一回呼んでみろ」
「テギョンオッパ・・・。
オッパ・・・そろそろここを出た方が良いと思います・・・」
甘い気分に浸っていたテギョン。
ミニョがあまりにも心配するので仕方なく温室を出ることに決めた。
「オッパ、私が先に出ますから暫くしたら出て来て下さいね」温室の入口を指差しながら言った。
「お前先に出て何処に行くんだ?」
「えっと・・・どちらで待ち合わせしますか?」
「俺が先に出て駐車場に向かうからその後お前は出てこい。俺を追いかけて来れば良いから、わかったな」
そう言ってテギョンは先に出て行った。
暫くしてミニョは温室の入口から顔を出し周りに誰もいないことを確認てし出た。
先に温室を出たテギョンはミニョがちゃんと付いてくるのか心配で途中立ち止まり入口を眺めていた。
キョロキョロ見ているミニョを見ながら
「あの態度は周りから見たら明らかに“怪しい”と言ってるようなものだな」
可笑しくて笑い出しそうになったが直ぐにいつもの表情に切り替えミニョが自分の姿を見失わないような速さで歩いた。
ミニョはテギョンの姿だけを見つめ小走りに追いかけた。
駐車場に着き自分の車に乗り込みハンドルに顔を乗せてミニョが来るのを眺めていた。
必死にテギョンの後ろ姿を追いかけて来たが車を見つけると不安そうだった表情がパッと明るくなり嬉しそうに車に乗りこんできた。
「お待たせしてすみません。テギョンオッパ、歩くのが早くて大変でした」
「あれでもゆっくり歩いたつもりだったがお前の足の長さを考えたらこれからもっとゆっくりと歩かないとな」
「酷いです。もう一緒なんか歩きません」頬を膨らまし窓の外を見た。
嬉しそうにしたり怒ったりとテギョンの言葉で色々な表情をするミニョが愛おしくてたまらない。
もう一度抱きしめようとした時テギョンの携帯電話が鳴りだした。
アン社長からの着信だった。
「テギョン、会社に来るようになっていただろ?。この前話しておいたCMの返事を催促されたぞ。受けて良いだろ?」
「あの話ですか?。お断りして下さい」
「なぁ、もう一度考えてくれよ。取り敢えず事務所で待っているから顔を出してくれ。先方への返事はそれからするから」
そう言ってアン社長は電話を切った。
横で聞いていたミニョは
「オッパこれからお仕事ですよね。私はバスで帰れますから適当な所で降ろして下さい」
「良いからお前も一緒に来い」
ミニョを乗せたテギョンの車は事務所へと向かった。