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(2000/6/16 子ども関連MLへ投稿)
25日・27日・28日の三日は、俳句ブログには投稿していなかったため、上記日付のメーリングリストに投稿したものを、三度に分けて書きます。
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6月15日。わたしも含め古い世代にとって、この日はある特別な感慨を持たざるを得ない日です。1960年、ロクイチゴォ
このメーリングリストに書き込む内容ではないとわかっていながら、昨日の朝日新聞夕刊の記事を読み、どうしても書きたくなってしまいました。
四十年前の今月十五日、国会通用門付近で、一人の東大生が警官との激突の中で死亡しました。樺美智子さんという方です。若いかたにとってはまったくご存知ないことでしょう。
六月の雨は切なく翠(みどり)なす
樺美智子の名は知らねども
福島泰樹
朝日新聞には「樺美智子さん22歳の死 あす40年 悼む歌絶えず」との大きな囲み記事がありました。
樺さんが亡くなられたとき、わたしは小学校六年生でした。その彼女の死が意味するところのものを理解できはしなかったかもしれませんが、それでも鋭い戦慄を覚えました。
「なぜ一人の女子大生が死ななければならなかったのか」
「ゼミへゆく」と微笑み母に告げしまま
六月十五日帰らず永久(とわ)に
福島泰樹
そしてその十年後、わたしはデモの列の中にいたこともありました。しかし、以来三十年、いまこうして生きています。
我は生き彼女は逝きし六月の
雨は今年も沛然と降る
世路蛮太郎
四十年たった現在、このメーリングリストに参加していらっしゃるみなさんは、それぞれ真剣にこどもたちの問題と取組んでいらっしゃる。
それでも昨年、あんなにも多くの法案が、簡単に成立してしまっています。
みな貧しく一途に激しゆきしかな
岸上大作 樺美智子よ
福島泰樹
過激であるべしなどとは思ってはいません。それでもわたしたちが一つひとつの問題と、どう対峙してゆくのか。どう真剣に見つめてゆくのか。そのことがいまとても大切なことだと感じています。
福島さんの歌の中にある「岸上大作」とは、樺さんと同じ60年安保闘争後に、自殺した学生歌人です。
靴底に黴ふかしめて立ち去らん
この雨季にしてひとつの転位
岸上大作
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